2017年08月10日

螺鈿鞘のご紹介・・・

螺鈿鞘のご紹介・・・

3月から6月にかけて制作した、総螺鈿貼りの鞘『黒漆蝋色塗龍鱗紋様螺鈿鞘』のご紹介。
約5500ピースの螺鈿をグラフィックソフトで図面化し、龍の鱗を表現しました。

東京の刀剣販売会社「葵美術」様から制作を依頼されました。
ご注文はロンドン在住のクライアントとなります。

自作のオリジナル作品としては初の海外納品。もうすぐロンドンへ旅立ちます。



 作品コンセプトは一匹の龍。龍の体を一本の鞘に見立て、その鱗紋様を螺鈿で表現しました。


 当工房に送られてきた鞘。
 鞘は2本作られ、普段はこのような白木作りの白鞘に真剣(古刀)が収められ保管されます。
 観賞時には、装飾入りの鞘へ特別に真剣が収められます。


 鯉口の接着。


 絹着せ作業。強靭な下地とするため、シルクを纏わせます。


 絹地を漆で固めたところ。


 何重にも下地を重ね塗りしていきます。
 下地には、上新粉、土、漆などが使われます。
 今回の下地は、一切の妥協、手抜きなく、伝統的な「本堅地」と言われる堅牢な手法で仕上げました。


 生漆で下地を塗っている様子。
 下地は常に塗り固めながら、次の工程へ進みます。


 黒漆による中塗りが終わったところ。


 アナログとデジタルの両方の手法を使って、約5500ピースの螺鈿パーツを図面化し、加工しました。
 青みの特に強いアワビ薄貝を選抜し、螺鈿同士に毛一本程の隙間が空くよう、デジタル調整。



 螺鈿パーツの下書きと組み上げの様子。


 パーツカットと確認作業。


 一枚一枚、根気強く正確に漆で貼っていきます。


 螺鈿の上から黒漆を塗り重ねます。


 炭による水研ぎの様子。


 塗り、研ぎ、磨きを繰り返し、、、
 最後は手で磨きます。


 クライアントのご要望により、当工房の銘を入れました。
 栗形(組み紐を結びつける留め具)の裏側に工房名を黒漆で書き入れます。


 銘を入れた様子。


 完成状態。鯉口、栗形付近の様子。


 鐺付近の様子。


 完成した全体像。


 梱包前の全体像。


今回は、日本美術に対する深い敬愛を持たれていらっしゃる
海外のお客様からのご注文ということもありまして、
イメージ作りから制作全般に渡ってグレードの高さを求められる仕事でした。
幾つかの課題を何とかクリヤーし、今後の飛躍につながる仕事であったと振り返っております。

お客様には、今回素晴らしいご依頼とテーマを頂いたことに深く感謝申し上げます。



  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 00:00Comments(2)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り