2023年09月23日

薄器螺鈿修理①・・・

薄器螺鈿修理①・・・


4月にお預かりしてから長期で中断していた薄器の螺鈿修理。。。
8月の末から修理を再開してコツコツと進めております。


まずは、外れた蝶翅螺鈿の裏側に貼り付いている
漆と思われる接着塗料を除去です。。。


次に綺麗に研いで、、、


割れが入った部分を樹脂を浸透させて補強・接着です。


螺鈿が貼られていた部分も、、、
残っている螺鈿の裏表皮や漆と思われる接着塗料を除去します。


数日後に1次接着していた樹脂が硬化したところで研ぎを入れます。


一旦嵌めてみて、、、
やはり蓋の木地が経年変化で縮んで
螺鈿が嵌らなくなってますね(^^;


輪郭を慎重に研いで、、、


ここが最も難しい作業の一つです。
ピッタリ嵌るようになるまで3時間以上かかりました(^^;


そしてまた次なる難関、、、
螺鈿欠損部分の補完であります。


欠損部分をフィルムトレースをしてから、、、


色味の合う螺鈿部分を探し、、、


適当と思われる箇所に研ぎと磨きを施した上で、、、


カットです。。。

但し、すんなりとそのままOKとはならず!
色味が合うと思って作っても、光る角度が微妙に違うことばかり。。。
欠損部は3ヵ所ですが、結局はそれぞれ2~4個作る破目になるのでした(^^;


ようやく3ヵ所とも出来上がりました~。
この作業だけで4~5時間であります。

そして、、、補完螺鈿を本体と樹脂で接合します。
この作業、ひと手間掛かってしまいますが、
貼付する際に本体と補完螺鈿に漆が浸透しないようにする処置でして
どうしても必要な作業となります。

この処置をしないと、漆が継ぎ目に浸透して
必ず黒い継ぎ目がクッキリと出てしまいます。


まずは螺鈿を本体から取り外して、、、


裏側の補完部分にセロハンテープを貼ってから、
表側のセロハンテープを剥がします。。。


そして、今度は表側から樹脂を浸透させます。。。

割れ部分の補強時と同様に裏側から浸透させても良かったのですが、
テープが表側ですと樹脂がテープの裏に浸透して面倒なことになりますので、
その逆で行うことにしました。

ここで、琵琶の螺鈿修理も同時進行です!
割れた覆手前板螺鈿の接着を行いました。


前板の割れ(向かって右側)の合わせをまずします。。。


何度か固定を修正して、やっとセッティング完了!
割れ部分は、裏側は全部止め、表側は一部止めにしました。


表側で顔をのぞかせている割れ部分から樹脂を浸透させ、、、


そこに真珠貝の微粉を擦り込んで傷埋めしてから、、、


テープを貼り替えます。。。


今度は割れ中央部で同じ作業を繰り返し、、、


割れ全体をテープで貼って、全固定であります。
ギブスでガチガチに固定した状態と似てますね~(^.^)

これで、後は数日後の樹脂硬化を終えて、
いよいよ躯体(薄器や琵琶)への螺鈿貼付作業に進みます。

修理はようやく終盤戦へ!
つづく。。。






  


2023年09月23日

アートフェアアジア福岡へ・・・

アートフェアアジア福岡へ・・・

仕事の合間に「アートフェアアジア福岡(AFAF)」へ行って来ました。
新進気鋭の作家さんたち、そして現代美術の大御所さんまで、
力溢れる作品の数々に圧倒されました~。スバラシカ!!


会場はマリンメッセ福岡。
入口からしてインパクトあり。アジア各国のギャラリーも参加しています。


トークショーも開かれていました。。。


これはまた面白い造形です~。


著名な彫刻家=船越圭さんの作品も。


キャラが立ってますね~(^^;


目つきが、、、


漆芸のモダンアートも~


やってくれてますね~(^.^)


アイディアが凄い。。。


描画力も立体造形力もハンパなし。。。
このような若い作家さんの作品も多く、活き活きしてます。
力量がありますね~。


今年亡くなった現代アート大御所の野見山暁治さん。


道を切り開いて下さった方々にリスペクトです。。。

今回は改めてアートの力と現在の潮流を観ることが出来ました。
自由な発想と多様な創造性、表現力はスバラシイですね。
大いに刺激を受けました。

来年も開催されれば、また訪れたいですね (^^)/

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 12:41 Comments(0) よもやま話

2023年09月20日

糸島工房での貝殻加工・・・

糸島工房での貝殻加工・・・

昨日までの3日間は、糸島工房での貝殻加工作業。

久しぶりに同作業を行って分かったのは、、、
加齢による身体の衰え。なかなかのハードさでした~(^-^;


初日は雨が降って気温はホドホド。
屋外での貝殻研磨が出来ないので、
工房内の片付けと細かい加工作業を実施です。


屋内での加工作業を行うため、諸々セッティングを。。。


ハンドルーターも半固定した状態で使用します。


それにしましても、、、
スコールのような大雨が降っては止みを繰り返し、
屋外作業がいっちょん(ちっとも)できません(~_~;)


久しぶりの切り株くんはというと、、、
ほとんどの葉っぱをムシムシにむしゃむしゃされて茶色になってます。
何と言うことでしょう~復活して欲しいものです(..)



翌日から夜光貝加工のご依頼案件スタート!
この太い突起をカットするところから開始です。。。


次に材料を切り出す部位表面を研磨して、、、


やっとここまで、、、鎮座~(^^;
お湯加減、もとい、お水加減はいかがですか!?(^.^)


終わった方々、、、ひなたぼっこしてて下さい(^.^)


いやはや、あなた方だけでも一苦労ですわ。。。


わたくしの身体の痛みやら露知らず、、、
のんきなもんですね(^^;


さぁ~次々いかんとですね。。。


別件のアワビ貝殻たちは、
もうバラバラ平板に分解されてちゃっております(^.^)


工房作業期間中、お客様ご来訪。
疲れを癒してくれる御品を頂きました~感謝!


これからしばらくは、修理案件とともに貝殻加工が増えて来ます。
身体の衰えと相談しながら~の作業となりそうですね。。。
なんとか食事・運動などの健康管理や休養を入れつつ頑張りたいと思います。


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 16:21 Comments(0) 制作日記

2023年09月16日

琵琶螺鈿修理② 白蝶貝加工・・・

琵琶螺鈿修理② 白蝶貝加工・・・

夏の終わりにお預かりした古い琵琶。

こちらは白蝶貝で作られた螺鈿の修理を行いますが、、、
諸々の事情あって作業スペースを確保する必要があり、
先行して修理を行うことに。。。


まずは欠損部分のトレースから。
紙を当てて鉛筆でなぞります。。。


こちらも同じく。。。


覆手前板裏面に付いている固定薄板(爪)の螺鈿も、、、


しっかりと採寸です。。。


これで採寸が完了しました。


次にフィルムにトレースして、、、


材料選びです。。。

ちょっと多い!選ぶのに苦労しました(^^;


まずは爪の螺鈿から、形を写し取って輪郭加工。。。
擦り板とヤスリ、そして水を使います。


他のパーツも大枠で加工~OK!


その次は厚み加工。。。
ここは一工夫~~~両面テープで留めて、、、


ダイヤモンド砥石に押し付けながらスリスリと。。。


厚みも計りながら、、、OK、、、
いやっ!!削り過ぎました~(^^;

1.2mm厚にしたかったところを1.0mmに。。。
やり直しです(~_~;)

さて、ここからが時間がかかりました。
現物合わせで欠損部の凹み、継ぎ目に合わせる必要があり、
精度がハンパなく求められる作業が続き、、、


4時間以上の作業の後に、ようやく補完パーツが完成!!

この4パーツだけ(+やり損じ2パーツ)で4時間以上とは、、、
複雑な形状もありましたので、ピタッと合わせるには
当然と言えば当然でしょうか。。。

現物合わせの難しさを、今回もしっかり味わったのでした(^^;


こちら糸巻接合部右側は、、、


こんな感じで。。。


左側も、、、


このように。。。


覆手前板裏面の固定薄板(爪)も、、、


ピッタリと。。。

さぁ~この突貫作業で螺鈿加工が完了しました。
次は割れた覆手前板螺鈿の接合と、、、
膠による補完螺鈿の接着であります。

つづく。。。

  


2023年09月14日

和櫛修理④ 完成・・・

和櫛修理④ 完成・・・

和櫛修理が昨日完成しまして、
お客様にも先程ご確認頂き、ご了承頂きました。
近日中に発送します。


螺鈿の輝き、ふたたび♪


裏側センターも、菊の花なんでしょうね。


桜の花弁も、暫くは落ちないでね。


最後の磨き作業の様子です。
どうぞ末永く輝きが保ちますように。。。

この度はご依頼頂きありがとうございました。
いってらっしゃい(^.^)  


2023年09月12日

和櫛修理③ 錆付け・・・

和櫛修理③ 塗りの補修・・・

和櫛の修理は、補完する螺鈿の接着まで終わりました。
次の工程は塗りの補修となります。


まずは、接着した螺鈿周囲の大きく欠落した塗りの補修から。。。
こちらは厚みのある塗りがごっそり剥げておりますので、
漆パテ(錆)を付けて土台を作ります。


上から見るとこんな感じで。。。
ちょっとこの写真ではお分かりにくいかもしれませんが、
螺鈿縁に向かって駆け上がる感じにパテ付けしております。


夏場で厚いためか、半日で錆がしっかり硬化しました(^^)/
これを研ぎまして、、、


生漆で固めます。。。


翌日、、、固めた錆を仕上げ研ぎしてから、
塗立漆(艶アリ漆)で上塗りです。

通常は呂色漆で中塗りなのですが、
ここは、乾燥の遅くなった塗立漆をたっぷり目に塗り、
ひとつ工程を省いてみました。

写真は撮っておりませんが、この螺鈿周囲の上塗りの際に、
他の小さな塗りの剥がれ、亀裂、隙間などを全て補修塗りしました。
また、これら上塗りが乾燥した後、
清掃時に研いでいた櫛の隙間も全て塗り上げました。

ここまでが最初の清掃作業から数えて大きくは12工程。
細かい工程も合わせると20工程近くになります。。。
なかなか修理というのも、工程数が多いものですね。

残るは仕上げ作業ですが、、、
最後の最後まで気を緩めることなく進めましょう。
つづく。。。
  


2023年09月12日

和櫛修理② 螺鈿の修理・・・

和櫛修理② 螺鈿の修理・・・

修理を開始した和櫛は
清掃が終わり、いよいよ本格的な修理に入ります。


まずは欠損部分の確認を。。。
一番大きな剥がれた螺鈿=菊花の横に、
少し欠損部があるようですね。

こちらは、シャープペンシルで示した葉と
その右側にある最小の葉で補完します。

既存螺鈿の図柄を見て気付いたのですが、
全く同じ形、大きさの螺鈿があちこちに沢山使われています。

これは、大正や昭和初期の螺鈿職工さんたちが、
生産費用の抑制と、作業効率を上げる手段として、
パーツの大量生産をしていたことを伺わせます。。。


櫛上面の欠損部分。
こちらは、他の図柄の様子から、
どうやら桜の花弁ペアが付いていたようです。

ここで、使用する貝種を検討。
ご依頼を請けた当初はアワビを想定しておりましたが、
よくよく既存螺鈿を確認すると、真珠層の様子がなんか違います。
この淡いグラデーション、、、アワビのうねうねした層ではなく
夜光貝のそれに似ておりますね。

以上の確認から、補完する螺鈿を作って行きましょう。



はじめは図柄のトレースから。
フィルムで既存螺鈿の形をトレースして行きます。。。


夜光貝の厚貝材料を使用し、
厚みは0.2~0.3mmという薄さに研磨調整。


輪郭をトレースして、、、


加工完了であります!
次は、いよいよ螺鈿の接着へ。。。



予め前日に裏塗りし、乾燥させていた菊花螺鈿。

大きな螺鈿は、裏塗りは必須ですね。
接着~乾燥時、裏側に空気が入ってしまいますと、
螺鈿裏側部分に黒漆が無いか薄い状態となり、
こうした部分が表側から白く見えてしまいますので。


蒔絵筆で、接着用の呂瀬漆(生漆、黒漆が半々)を
櫛の接着面と、螺鈿の裏側に塗って、、、


湿気のある簡易ムロで半乾きにさせ、、、


螺鈿を貼付(接着)します。。。


ピタッと貼れましたね。


セロハンテープで固定させ、
一晩乾燥させます。。。

螺鈿貼付完了しました。
次は、漆塗りの補修へと移ります。
つづく。。。


  


2023年09月12日

和櫛修理① 清掃作業・・・

和櫛修理① 清掃作業・・・

4月にお預かりしてから長期間中断していた和櫛の修理。。。
9月に入ってから突貫作業であります。

もう完成間近のところまで進んでいるのですが、
まずは最初の作業=清掃の様子をアップします。


ビフォー状態。。。

こちらは少しだけ清掃等の作業が進んでおりますが、
まだまだ沢山の汚れがこびり付き、
塗面や螺鈿表面の劣化が著しい様子です。


まずは表側の菊花螺鈿カクニンであります。。。


付着した漆らしき部分を削り取り、、、


彫刻平刀で表面を均して、、、


それでも菊花螺鈿が嵌らないので、
慎重に凹みの外縁部を削ります。

櫛自体が相当ちぢんでいるらしく、
けっこう削りました!(^^;


ようやくピタッとハマり、、、


清掃開始!
まずは最小限度の水を使って、アルコール等の溶剤も使用。


綿棒、カット綿、キムワイプ、竹串、
そして、カッター、サンドペーパーなども駆使して。


櫛の隙間は、製作当初の塗りムラやバリが残っており、
清掃しにくい状態でしたので、こちらもついでに研磨です。。。

写真は撮っておりませんが、やはり大量の汚れが付いてましたね~。
積年の汚れは凄し、、、です。(^-^;

汚れ以外でも判明したことがありました。
やはり、螺鈿接着には膠も使われていたようです。
菊花螺鈿の接着面に水を付けると少しベタベタしましたので。。。

昨年から、古い工芸品の修理に共通していたのがこの膠。
間違いなく、この和櫛も水洗いは厳禁!!であります(^^;

修理の最後の最後で漆を全体に含浸するまでは、
水洗いや大量の水を使った作業はご法度!ということで進めます。


清掃完了~表側。


清掃完了~裏側。

これで次の作業へ進めますね。
古い品の修理は、ともかく最初は徹底した清掃が肝心。
清掃、洗浄無くして修理は成らず、、、なのであります。

さぁこれから修理の本番へ向かいましょう。
つづく。。。  


2023年09月04日

琵琶螺鈿修理①・・・

琵琶螺鈿修理①・・・


夏の終わりに届いた琵琶。
梱包を解いて、、、だいぶ古い琵琶のようですね。

今回は螺鈿修理のご依頼であります。
割れや欠損した白蝶貝のパーツを直して行きます。。。


大きい箱で届き、立派な袋に入っておりました(^.^)


まずは弦を結ぶ覆手(ふくじゅ)部分を確認。。。
前板の螺鈿が取り外されております。


次に糸巻との接続部分を確認。。。
螺鈿の先端が割れて欠損しております。


取り外された覆手前板の螺鈿は、
右側が割れて二つに分かれていたものをセロハンテープで仮固定。
他の部品もアリ。。。


覆手前板螺鈿を仮置きしてみました。。。


まずはピッタリと嵌りますね。
しっかり修理して行きましょう。


前板の裏側に取り付けられていた爪(小さな固定薄板)と、
正体不明の波型螺鈿、、、


御依頼主様に確認したところ、
琵琶の中で何かが動いてカラカラと鳴っていたらしく、
躯体修理をご担当された琵琶職人の方が、
胴の中からこの波型螺鈿を取り出されたそうです。

この波型部品は、恐らく製作者が作り置きしていたものを
胴の中に落としてしまったものでしょう。
覆手前板の波螺鈿に似た箇所があります。

興味深いことに、貝殻切り出し用の図(和紙)が
片方の表面に糊付けされたままになってますね。

当方でも、以前お預かりした琵琶で同様のことがありまして、
わたくしも何とか木片を取り出した記憶があります~(^^;

さぁこれから型取りなどして、
螺鈿の修理をしっかりして行きましょう。
つづく。。。

  


2023年08月31日

2023年 夏の終わり・・・

2023年 夏の終わり・・・

今年の夏も今日で終わりですね。何かと仕事に追われていましたが、思い出もチラホラと。。。
作る仕事は産み出すこと。それもコツコツとした地道さを持って生れ出る様子を、この夏もじっくり味わった感じがします。秋も様々にやって行きましょう。


植物園での夕暮れ。
夕涼みは素晴らしかった。。。


緑も生き生きと。。。


7月の大雨の傷跡。
大量の砂が溜まっています。。。


切り株くん、、、あまり会えませんでしたが、
この秋はたっぷりと付き合うことになりそうです(^.^)


鞘塗りラスト作業は銀シトドメ接着。
まるまるとした可愛い栗形に最後ピタッとハマった時は、
完成した~と思わずつぶやきが(><)


新たなる品物を夏の終わりにお預かりしました。。。
欠けが治って、、、新たに生まれ変わって下さい。


9月は、中断していた幾つもの修理案件をこなすことから始まります。
新たなご依頼も加わり、再生の秋となりそうですね。


しっかりとお付き合いして行きましょう。


この夏も生命が溢れていました。。。
ありがとう。



♪童神 夏川りみ



童神 わらびがみ 歌詞と解説 icon100


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 20:28 Comments(0) 制作日記鞘塗り修理

2023年08月27日

鞘塗り完成・・・

鞘塗り完成・・・

鞘塗りが完成しました。

今回はデザイン作業から完成まで本当に長い期間を要しましたが、
御依頼主様の心温かいご理解を頂きながら進めることが出来ました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


鞘前面は、梅鉢羽紋、城山三峰、塩飽波に梅、そして二大松と盛りだくさん。

以前にもお話をアップしましたが、
ご依頼主は塩飽水軍から20代以上続く武家の当主。
御一族の逸話などを元に加飾したものとなっています。
出来上がってから気づきましたが、、、
ちょっとした絵巻物のようになっている感じですね。


鞘背面は、金鵄梅鉢紋、夜の城山三峰、塩飽波に梅を配していますが、
前面に比べて静寂な雰囲気になるよう仕立てました。

前面の紋が「太陽」とすれば、
背面の紋は「月」ということになるでしょうか。。。


最後の作業は、栗形への銀シトドメ接着。
形状や嵌り具合の調整で、なかなかこの栗形には苦労しました(^^;


今は無き二大松。
御一族の本家に空高くそびえていた二つの大松は、
第二次大戦で空襲の的となることが恐れられ、切られてしまったとのことです。

戦争は、、、大切なものを奪っていきます。
しかし、記憶と精神は残されていますね。


天界での安寧を祈ります。


瀬戸内に浮かぶ島に見立てた梅たち。


夜の城山三峰は、青貝粉蒔きで。
ようやく磨き上げることができ、輝き出しましたね~(^.^)


木製刀身が取り付けられた柄を鞘に差して。。。


これで一旦は当方での作業が終了しまして
最後の仕立ては鞘師さんや研師などの方々にして頂くこととなります。

鞘は、塗りを施すとベースの木地が僅かに動くこともあるらしく、
刀身のはまり具合を最良の状態にするため、
刀身と鞘内双方の微調整(研磨等)が必要となるというお話でした。
繊細な仕立て作業が最後に待っているわけです。

ブログでの更新は以上となりますが、
以上の通り、まだ最終的な納品には至っておりませんので、
お客様のお手元に届くまで、引き続き気を抜かずに対応して行く所存です。



これで見納め。。。
どうか最後まで無事に・・・と願いつつ送り出しましょう。
いってらっしゃい。

  


2023年08月18日

鞘塗り蒔絵⑦ 最後の粉蒔き・・・

鞘塗り蒔絵⑦ 最後の粉蒔き・・・

鞘塗り蒔絵は、ようやく最終コーナーを回りつつあり、、、
粉蒔きは大松を残すのみとなりました。

大松は絵柄のボリュームがありますので、
松葉の梨地塗りが終わった後の丸粉蒔きは
4回に分けて行っております。


最初は松葉の輪郭から。。。


次に松葉の細い線=毛打ちを。。。

デザイン原画を見ながら、線の数もほぼ揃えて描きましたが、
漆の粘度、乾燥速度を考慮し。室温・湿度にも気を配るなど、
いろんな意味で本当に難しい線でした(^^;


3回目は松葉下の小枝柄と幹の凹み部分を。。。
凹み部分は陰となるところなので、
黒ベースの上に透き漆を塗って、
細かい粉でグラデーションが付くように蒔いてみました。


そして本日午後、4回目=最後の粉蒔きです!
まずは幹に弁柄漆を塗りまして、、、


大き目の丸粉=7号、5号で蒔きました。
こちらは幹の立体感が出るように、
少しだけ密度を変えて蒔いてみました。

これで粉蒔きは全て終了。
粉固めや摺漆を重ねながら、磨き仕上げに移行して行きます。

最終コーナー、、、最後までよくよく気を付けながら
何とか無事フィニッシュと行きたいところですね。


本日の朝ジョグの時、浄水緑地階段の脇で見つけた
わたしの推しのつる草くん♪
見守っていて下さいね~(^.^)

つづく。。。

  


2023年08月15日

鞘塗り蒔絵⑥ 丸に金鵄梅鉢・・・

鞘塗り蒔絵⑥ 丸に金鵄梅鉢・・・

日本刀鞘塗りは、ようやく丸粉蒔絵に入って来ました。
蒔き終わったものから順にこれから更に磨きをかけて行きます。


この『丸に金鵄梅鉢』は、
第二次世界大戦において若くして戦死された
ご親族を弔う意味を込めるというオーダーにて制作したオリジナルデザインの紋でして、
夜の世界を表現している鞘背面に描いています。

本日は終戦記念日、、、
あの大戦争で犠牲になられた世界中の方々に対し
心よりご冥福をお祈り申し上げます。



鞘背面の粉蒔きは全て完了。
前面もある程度進んでいますが、大松の蒔絵がまた勝負どころであります。

引き続きコツコツと進めて参りましょう。  


2023年08月13日

鞘塗り蒔絵⑤ 丸粉蒔き・・・

鞘塗り蒔絵⑤ 丸粉蒔き・・・

こつこつと進めている鞘塗り蒔絵。。。

梨地粉蒔きが完了しましたので、
いよいよ蒔絵の最終仕上げに向かうため
丸粉蒔きに入っております。


まずは梅鉢羽紋のフレームに、
丸粉を蒔くための羽柄を描きます。
一旦置き目(転写)をして、、、


梨地塗りの上に弁柄漆は判然としないので
より明るく目立つ朱漆で羽柄を描きました。。。


そしてこちらが、丸粉を蒔いて乾燥させた後、
溶剤で希釈した生漆で粉固めをした様子です。


金鵄紋の方は、弁柄漆を丁寧に薄く塗り、、、


丸粉を蒔きました。。。
レリーフ状になるよう回数塗り重ねてますので、
凹凸感が出ている感じですね。


こちらも希釈した生漆で固めて。。。


そして、梅の花の螺鈿にも、、、
丸粉3号を蒔き付けましょう。

丸粉蒔き付け工程で一番難しいのは
細かい毛打ち(金線)がある松葉であります。
引き続き頑張って参りましょう。

つづく。。。
  


2023年08月08日

卓上プレート完成・・・

卓上プレート完成・・・

ご依頼品の卓上プレート(摺漆仕上げ)が完成しました。
今週~来週にかけて納品となります。


最終的には結構ツヤが上がりましたね。


彫刻部:黒漆の表情もイメージ通りです。


背面の様子です。


こちらは最終作業の様子。
ネジ留めは慎重に。


最後は支え角棒を嵌めて。。。
ここでピタッと収まるのが気持ち良し(^.^)

最後は、お疲れ様・・・という心持ちになりました~完。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 18:13 Comments(0) 制作日記漆塗り木工

2023年08月03日

卓上プレート 摺漆を進める・・・

卓上プレート 摺漆を進める・・・

ご依頼の卓上プレートは、制作の最終段階に入って来ました。
もうあと数回摺漆(拭き漆)して完成となりそうです。


数日前の2回目木固めが終わった段階です。


漆を含むと木がほんのちょっとふくらみますので、、、
接合部の調整研磨と確認です。


目止めが終わって摺漆を数回進めた状態です。
だいぶ色が定着して来ました。


この段階で、、、塗り立て黒漆(艶アリ)を彫刻部分に塗り込みです。

厚塗りの状態だと書がぽってりと光り過ぎて
風合いが無くなる感じがしましたので、
一旦塗ってから少し拭き取り加減にする処置を施しました。


そして本日また摺漆を。。。
コツコツと完成へ向けて進めましょう。
もうちょっとですね。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 17:28 Comments(0) 制作日記漆塗り木工

2023年08月01日

鞘塗り蒔絵④ 梨地粉蒔き・・・

鞘塗り蒔絵④ 梨地粉蒔き・・・

鞘塗り蒔絵は、本番作業の第3工程「梨地塗り」へ。。。
今回は梨地粉蒔きであります。

絵柄の背景になる部分を、
少し濃い飴色でありながらキラキラと光る「梨地塗り」にします。
具体的には、梅鉢羽紋のフレームと松葉が該当する部分ですが、
まずは粉を蒔く工程から開始です。


さて、最初は梅鉢羽紋から。。。
上から羽の絵柄が入る丸フレームのベースに
研ぎ出し梨地漆を塗ります。


梨地粉を蒔き終わった状態です。
ビッチリと贅沢に蒔いております。
ほとんど見えなくなる背景にしては、かなりリッチな感じです(^^;

この丸フレームについてはテストで色々と試しましたが、
一番細かめの1号粉で密に蒔くのが良いという結果に。
上から絵付けする羽の絵柄がこれまたビッチリと描かれるため、
その隙間から見える金粉は細かく密な状態が良いと考えた次第です。


次に松葉にも梨地粉蒔きを。。。


こちらが蒔き終わった状態です。
梅鉢羽紋のフレームと比して、少し密度を下げました。


そしてこれが大事な作業!粉押さえの作業です。

タイミング良く慎重にやらないと失敗する作業なのですが、、、
金粉を蒔いた後、漆の乾燥が更に進み程良く粘度が高まった段階で
押さえ紙で金粉を丁寧に押さえてあげます。

この作業によって、鋭角に立ち上がった梨地粉が
平板に押さえ付けられて定着します。

もしこの作業をしないとどうなるか、、、
乾燥後の粉掃いや、上塗り後の研ぎ出し時に梨地粉が取れてしまい
剝げた所があちこちに出来てしまうのです(~_~;)



乾燥して粉掃いが終わった梅鉢羽紋フレームです。
きっちり蒔き付けられましたね。
まずは一安心ですが、、、今後も油断は禁物です。


松葉もしっかり乾燥して粉掃い。
こちらもひとまずOKです。
イメージ通りの程良い粉密度となりました。

さて、次はこの蒔いた梨地粉の固め作業です。
つづく。。。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 21:24 Comments(0) 制作日記金箔・金粉鞘塗り

2023年07月30日

純金丸粉届く・・・

純金丸粉届く・・・

本日、注文していた純金丸粉が漆屋さんから届きました。
今回は約6年ぶりに金粉を購入したのですが、、、
値段が倍になっていて驚いたのでした~(^^;


注文したのは純金丸粉3号。
どちらかと言うと細かめの丸粉です。
このたった1gで2万円もします(^-^;

鞘塗り蒔絵の試作で、
この3号粉を本番で多く使うことが予想され、
当方の在庫がわずかとなっていたので注文したのですが、、、
ネットで見ると、どこの漆屋さんも細かめ金粉の在庫が無い!!

やっと1社の通販サイトで「残りあと2つ」とありまして
そそくさと注文したのですが、、、実は在庫切れとのご連絡アリ!
どうもメーカー製造で何らかの事柄が発生しているとのことでした。

少し急いではいたのですが、、、
結局は注文してから届くまで12日かかりました(^^;
それでも早急にご対応頂いた漆屋さんに感謝です。


こちらは約2週間前に色々と試作を終えていた2本。
なんと、足りない金粉が届いたこのタイミングで、
先ほどご依頼主様より試作ご確認のご返信あり。
Goサインを頂きましたので、いよいよ本番の一部に手を付け始めます。


またまた緊張の連続と思いますが、、、
つづく。。。


  


2023年07月29日

卓上プレート 裏脚細工・・・

卓上プレート 裏脚細工・・・

ご依頼の卓上プレートは、暫く作業を中断しておりましたが、、、
数日前から再開し、裏脚を細工しました。


脚と固定棒の加工完了。
以外とここまで来るのが長かった。。。


プレート本体との金具仮止めを。。。


位置設定良し!


固定棒ホゾ彫り開始!


汗、、、


彫り完了!!


固定棒嵌まり良し!


平らな台の上に置いて安定度を確認、、、


OKです。。。

いやはや、今回の木工では、
書のレーザー彫刻以外は一切機械を使わず
全て手作業で行い大汗をかいてしまいましたが、
ようやく何とかなりました(^^;


さあ~これでやっと全体の塗りに入れます(^^;
漆作業再開しましょ~。
つづく。。。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:41 Comments(0) 制作日記漆塗り木工

2023年07月19日

金継ぎ完成・・・

金継ぎ完成・・・

金継ぎがようやく完成しました。
今回は、、、バラバラになったコーヒーカップが
本当に難しかったですね~(^^;


今回の、コーヒーカップ兄弟。


葉脈のように欠けた君。
君は本当にこれからどう活きるか。。。


何とか持ちこたえて、活きて行って下さい。。。(^_^;)


どん底には意味がある。。。


あなたは、、、脳神経細胞のように欠けましたね。


小皿兄弟も、、、ちょっと欠けることはあるさ。


お二人さんも、どうかご無事で、、、完。