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2023年09月29日

琵琶梱包・・・

琵琶梱包・・・

螺鈿の修理が完了した筑前琵琶。
お客様のご確認とご了承を頂きましたので、
いよいよ返送であります。

返送の際に必ず行うのが梱包作業。
お送りする品物に合わせて、
梱包材料の選択や梱包方法を考えなければなりません。

今回は「琵琶」という非常に特殊な品となりますので、
かなり対応力が求められます。
まずは琵琶から飛び出たパーツの保護から。。。


弦(糸)をくくり付ける覆手前板の部分は、、、


このようにスポンジ材を上下から挟み込ませて、、、


後部をエアパッキンで包み込むように養生。


海老尾が外された糸巻部分は、、、
出っ張った尖った螺鈿が非常に危ういので、、、


海老尾の取付口に発泡スチロールを噛ませてから
エアパッキンで養生です。


その後に、琵琶全体をエアパッキンで包み込みました。


糸巻が付いた海老尾も、、、エアパッキンで養生です。


そして、琵琶袋に本体を入れ、、、


エアパッキンでもう一度包んだ上で、
エアークッションがつめつめの箱内に挿入です!

当方に届いた時に使われていたダンボール箱や梱包材を
今回はほぼ再利用することができましたが、
お送り頂いた時との相違点として挙げられるのは、
海老尾は取り外した形で本体と分けて梱包したことと、
飛び出たパーツの保護をより厳重に行った点です。

楽器である琵琶は、その名の通り流麗なビワの実の形であるため、
箱の中で動きやすく、固定しにくいという特徴があります。
また、飛び出た複雑なパーツもあるが故に、
配送時の振動で負荷がかかりやすい部位も持ち合わせていると言えます。

安全な運搬を遂行するためには、
これらの点を考慮した梱包方法が求められます。

当方にお送り頂いたご依頼主様は、
琵琶全体をエアークッションで包み込むという
たいへん理に叶った梱包方法を採用されていました。

この手法ですと、琵琶が箱の中で宙に浮いたような状態となり、
ほぼ傾きもせず、箱の面に当たることなく、
琵琶を安全に送付することが出来ますね。

何かしら固定しようとしてしまうと、琵琶のような自由形体のものは
大変難しい形の固定具やクッション材を用意しなければなりません。
以前、当方は琵琶配送でそのような手法を使ったことがありましたが、
かなりの労力を要したことを覚えております。

今回はご依頼主様(お客様)に梱包方法を学ばせて頂きました。
ありがとうございました!
また別の難しい形状の品でも、この方法で梱包したいと思います。
但し、、、非常に重たい物ではNG(使えない)と思いますが。。。(^^;

ともかく、今回の梱包はたいへん上手く行ったかと、、、
後は無事に届くことを祈るばかりですね。

行ってらっしゃい~(^.^)

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 17:30Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾修理

2023年09月28日

琵琶螺鈿修理③ 螺鈿接着~修理完了・・・

琵琶螺鈿修理③ 螺鈿接着~修理完了・・・


お預かりしている琵琶の螺鈿修理は、
割れた螺鈿の樹脂接着が完了。
接着部の状態を確認してから、、、


はみ出た樹脂を研いで、、、


全体的にも表面が劣化しておりましたので、
細かめのペーパーで研ぎを入れ、、、表側はこれでOK。


裏面に回った樹脂も研ぎを入れて、、、OKです。


そしていよいよ琵琶本体への螺鈿接着です。
まずはセッティングしてみて、キチッと嵌るか確認です。


各螺鈿パーツは問題ないということで、
接着剤として使う膠づくりであります。。。
膠の材料棒をゴリゴリと削って、、、


小瓶の中に入れ、水を垂らしておきます。


温かい電気温水器の上に一時間ほど置き、、、
膠が溶けてドロドロになったところで、
防腐剤を2滴垂らして、またかき混ぜて、、、


さぁいよいよ接着です!
大きいパーツは特に一発勝負、、、

ドライヤーで温めてドロッとなった膠を
冷めないうちにたっぷり目に一気塗りして、サッとくっつけます。

失敗すると相当厄介ですから、集中力が必要。
予めスマホにスタンバらせていましたが、
この余裕のない場面でよく写真が撮れたものかと。。。(^^;


15分ほど冷ました後に、
ぶにゅっとはみ出た膠を拭き取り、、、


指で軽くたたいて、音を確認。。。
接着が上手く行っているか打刻検査します。


これで覆手前板螺鈿が接着完了!


次に、いまくっつけた覆手前板螺鈿裏側左右に嵌める
爪型の螺鈿を接着です。。。


まずはサッとくっつけて、、、


隙間に膠を練り込みます。。。


はみ出た螺鈿を拭き取って、
爪型螺鈿も完了!!


そして、今回の最大の山場、、、
最も難しい糸巻部分の螺鈿接着を。。。


まずは既存の劣化した膠を拭き取りまして、、、


そこから第1の難関に入ります。。。
実は、糸巻部分の向かって左側にある、
既存の細長い外角ラインの螺鈿が、膠が弱まって
剥がれかかってパカパカと動いているのであります(^^;


テープで仮止めしておりましたが、
これをまず剥がし、、、


水をしっかり裏側まで浸透させ、
非常に細い針でコスコスと、、、(^-^;


しつこくコスコスと粘り強く、、、
既存の膠を水でふやけさせつつ、こそぎ出します。


慎重かつ粘り強いこの作業を終え、、、
新たな膠でしっかりと固定させました。。。


そして、糸巻部分両サイドの螺鈿欠損部に、
補完螺鈿をしっかりと圧着です!

複雑な形状ですので、手先の感覚を頼りに
神経をかなり集中させて一気にくっつけました。
何とか無事接着出来ましたが、
この部分の作業はこれで終わりではありません。。。


既存螺鈿と補完螺鈿の継ぎ目には、、
真珠貝の微粉を指で擦り込んだ上で膠を浸透させ、、、


継ぎ目が目立たなくなる様な補修処置も施しました。


糸巻部分にはもう一つ小さい山場が残っておりまして、、、
糸巻突端の帯状螺鈿に空いた二つの穴の補修を実施です。。。


こちらの穴=凹みには、まず真珠貝微粉を膠で練り込み、
ある程度この穴を埋めた上で、、、


白蝶薄貝の厚手タイプを穴の形状にカットして
膠で埋め込んだ上で研磨し、補修完了です!


非常に小さい穴でしたので、形状カットや嵌め込みに手間取り
思った以上に時間がかかりましたが、、、
何とか補修できて良かったです(^.^)


これで糸巻部分が全て完成!!


海老尾(糸巻の折り返しパーツ)を嵌めても問題なし。

接着修理が完了した後は、新旧螺鈿の違和感を無くす処置も実施。
新しい補完螺鈿は白く初々しく、既存螺鈿は表面が劣化し汚れも付着。
この差異を埋めるため、既存螺鈿の表面を研磨して
それぞれの印象を近づけるようにしました。



これでやっと修理が完了です。
修理完成写真は、お客様へメールでご確認頂き、
ご了承を頂けましたら琵琶をお返しすることに。。。

今回も中々難しいご依頼ではありましたが、
当方でお請けする修理案件にしては
比較的短期決戦にて終えることが出来そうです。

膠は使い方は難しいですが、微妙な表現も可能と分かり、
今回の修理を通して更に新しい技を身に付けることが出来ました。

いつもながら、古い品の奥深さに学ぶべき点は多いですね。
有難いことです(^.^)  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:05Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾修理

2023年09月23日

薄器螺鈿修理①・・・

薄器螺鈿修理①・・・


4月にお預かりしてから長期で中断していた薄器の螺鈿修理。。。
8月の末から修理を再開してコツコツと進めております。


まずは、外れた蝶翅螺鈿の裏側に貼り付いている
漆と思われる接着塗料を除去です。。。


次に綺麗に研いで、、、


割れが入った部分を樹脂を浸透させて補強・接着です。


螺鈿が貼られていた部分も、、、
残っている螺鈿の裏表皮や漆と思われる接着塗料を除去します。


数日後に1次接着していた樹脂が硬化したところで研ぎを入れます。


一旦嵌めてみて、、、
やはり蓋の木地が経年変化で縮んで
螺鈿が嵌らなくなってますね(^^;


輪郭を慎重に研いで、、、


ここが最も難しい作業の一つです。
ピッタリ嵌るようになるまで3時間以上かかりました(^^;


そしてまた次なる難関、、、
螺鈿欠損部分の補完であります。


欠損部分をフィルムトレースをしてから、、、


色味の合う螺鈿部分を探し、、、


適当と思われる箇所に研ぎと磨きを施した上で、、、


カットです。。。

但し、すんなりとそのままOKとはならず!
色味が合うと思って作っても、光る角度が微妙に違うことばかり。。。
欠損部は3ヵ所ですが、結局はそれぞれ2~4個作る破目になるのでした(^^;


ようやく3ヵ所とも出来上がりました~。
この作業だけで4~5時間であります。

そして、、、補完螺鈿を本体と樹脂で接合します。
この作業、ひと手間掛かってしまいますが、
貼付する際に本体と補完螺鈿に漆が浸透しないようにする処置でして
どうしても必要な作業となります。

この処置をしないと、漆が継ぎ目に浸透して
必ず黒い継ぎ目がクッキリと出てしまいます。


まずは螺鈿を本体から取り外して、、、


裏側の補完部分にセロハンテープを貼ってから、
表側のセロハンテープを剥がします。。。


そして、今度は表側から樹脂を浸透させます。。。

割れ部分の補強時と同様に裏側から浸透させても良かったのですが、
テープが表側ですと樹脂がテープの裏に浸透して面倒なことになりますので、
その逆で行うことにしました。

ここで、琵琶の螺鈿修理も同時進行です!
割れた覆手前板螺鈿の接着を行いました。


前板の割れ(向かって右側)の合わせをまずします。。。


何度か固定を修正して、やっとセッティング完了!
割れ部分は、裏側は全部止め、表側は一部止めにしました。


表側で顔をのぞかせている割れ部分から樹脂を浸透させ、、、


そこに真珠貝の微粉を擦り込んで傷埋めしてから、、、


テープを貼り替えます。。。


今度は割れ中央部で同じ作業を繰り返し、、、


割れ全体をテープで貼って、全固定であります。
ギブスでガチガチに固定した状態と似てますね~(^.^)

これで、後は数日後の樹脂硬化を終えて、
いよいよ躯体(薄器や琵琶)への螺鈿貼付作業に進みます。

修理はようやく終盤戦へ!
つづく。。。






  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 16:16Comments(2)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り楽器装飾修理

2023年09月16日

琵琶螺鈿修理② 白蝶貝加工・・・

琵琶螺鈿修理② 白蝶貝加工・・・

夏の終わりにお預かりした古い琵琶。

こちらは白蝶貝で作られた螺鈿の修理を行いますが、、、
諸々の事情あって作業スペースを確保する必要があり、
先行して修理を行うことに。。。


まずは欠損部分のトレースから。
紙を当てて鉛筆でなぞります。。。


こちらも同じく。。。


覆手前板裏面に付いている固定薄板(爪)の螺鈿も、、、


しっかりと採寸です。。。


これで採寸が完了しました。


次にフィルムにトレースして、、、


材料選びです。。。

ちょっと多い!選ぶのに苦労しました(^^;


まずは爪の螺鈿から、形を写し取って輪郭加工。。。
擦り板とヤスリ、そして水を使います。


他のパーツも大枠で加工~OK!


その次は厚み加工。。。
ここは一工夫~~~両面テープで留めて、、、


ダイヤモンド砥石に押し付けながらスリスリと。。。


厚みも計りながら、、、OK、、、
いやっ!!削り過ぎました~(^^;

1.2mm厚にしたかったところを1.0mmに。。。
やり直しです(~_~;)

さて、ここからが時間がかかりました。
現物合わせで欠損部の凹み、継ぎ目に合わせる必要があり、
精度がハンパなく求められる作業が続き、、、


4時間以上の作業の後に、ようやく補完パーツが完成!!

この4パーツだけ(+やり損じ2パーツ)で4時間以上とは、、、
複雑な形状もありましたので、ピタッと合わせるには
当然と言えば当然でしょうか。。。

現物合わせの難しさを、今回もしっかり味わったのでした(^^;


こちら糸巻接合部右側は、、、


こんな感じで。。。


左側も、、、


このように。。。


覆手前板裏面の固定薄板(爪)も、、、


ピッタリと。。。

さぁ~この突貫作業で螺鈿加工が完了しました。
次は割れた覆手前板螺鈿の接合と、、、
膠による補完螺鈿の接着であります。

つづく。。。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 07:59Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾修理

2023年09月04日

琵琶螺鈿修理①・・・

琵琶螺鈿修理①・・・


夏の終わりに届いた琵琶。
梱包を解いて、、、だいぶ古い琵琶のようですね。

今回は螺鈿修理のご依頼であります。
割れや欠損した白蝶貝のパーツを直して行きます。。。


大きい箱で届き、立派な袋に入っておりました(^.^)


まずは弦を結ぶ覆手(ふくじゅ)部分を確認。。。
前板の螺鈿が取り外されております。


次に糸巻との接続部分を確認。。。
螺鈿の先端が割れて欠損しております。


取り外された覆手前板の螺鈿は、
右側が割れて二つに分かれていたものをセロハンテープで仮固定。
他の部品もアリ。。。


覆手前板螺鈿を仮置きしてみました。。。


まずはピッタリと嵌りますね。
しっかり修理して行きましょう。


前板の裏側に取り付けられていた爪(小さな固定薄板)と、
正体不明の波型螺鈿、、、


御依頼主様に確認したところ、
琵琶の中で何かが動いてカラカラと鳴っていたらしく、
躯体修理をご担当された琵琶職人の方が、
胴の中からこの波型螺鈿を取り出されたそうです。

この波型部品は、恐らく製作者が作り置きしていたものを
胴の中に落としてしまったものでしょう。
覆手前板の波螺鈿に似た箇所があります。

興味深いことに、貝殻切り出し用の図(和紙)が
片方の表面に糊付けされたままになってますね。

当方でも、以前お預かりした琵琶で同様のことがありまして、
わたくしも何とか木片を取り出した記憶があります~(^^;

さぁこれから型取りなどして、
螺鈿の修理をしっかりして行きましょう。
つづく。。。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 16:07Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾修理

2023年01月17日

新頭金完成・・・

新頭金完成・・・

新頭金が完成しました!
お客様へのご確認と承認も得て発送~納品です。


最後の工程=夜光貝プレートの側面に艶アリ黒漆を塗布。。。


乾燥後にマスキングを剥がして、、、


完成です!


裏側から見ますと、、、こんな感じです。


さて、発送へ向けての準備を。。。
今回もカプセル梱包!(^^)


しっかりフタを閉じて、、、


今回は、新バージョンの月面着陸スタイル(^.^)
無事に届いて下さいね~。


楽器パーツの製作は、今回が何度目かですが、
その都度勉強しないといけないことがありますね。

しっかりとご要望に対応できるよう、研鑽を積んで行きましょう。
この度もご依頼頂きまして、まことにありがとうございました!
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 20:18Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り楽器装飾

2023年01月13日

新頭金 夜光貝プレート接着・・・

新頭金 夜光貝プレート接着・・・

ご依頼で新しく作り直している頭金。
夜光貝フクロウ円盤をいよいよ真鍮土台(ボタン形状)へ接着させて完成です。

お客様へ念のため接着前の確認をしたところ、
頭金は結構高い温度に耐える必要であることが分かり、
接着方法を急遽変更です(^^;


夜光貝プレート接着の為、真鍮土台をセッティング。
さぁ、エポキシ樹脂で接着しましょうか~と思っておりましたが、
念のためお客様へ諸々確認、、、そして、あることが判明!

頭金は「能管」といった横笛の頭に、溶かした蜜蝋で埋め込まれます。。。
蜜蝋は、その位置や分量の増減が、笛全体の鳴りやバランスを大きく左右する要となるそうです。

お客様からご教授頂きましたが、蜜蝋が溶け出す温度は65~70℃。
頭金を取り換える時はアルコールランプで笛の頭を焙って外す、
頭金を取り付ける時はハンダごてを頭金の取っ手に当てて熱し
蜜蝋を溶かしながら嵌め込む等のご説明があり、、、
頭金の耐熱温度は余裕を持って100℃~120℃ほどは必要であろうかと思われました。

今回作っている夜光貝フクロウ円盤の真鍮への接着では
一般的には熱に強いと言われるエポキシ樹脂を予定しておりましたが、、、
使用している樹脂は熱変形温度が60℃、、、ちょっと低いのでギリ却下!と判断。
危ないところでした~(;'∀')

ということで、300℃の熱にも耐え得ると言われる漆での接着に急遽変更です。
但し、漆は真鍮といった金属に塗ると剥げやすいという難点がありますので、
密着性が上がる漆焼き付け実施~と相成りました(^^;


漆を塗って、トースターで焼き付けます。。。


漆が真鍮土台にしっかり融着しました。。。


これを研ぎまして、、、


呂瀬漆(接着用漆)を焼き付けた真鍮の表面、夜光貝の裏面ともに塗り、、、


丁度頃合いの良い半乾き状態になったところで、


慎重に貼り合わせます。。。緊張!!


しっかりと圧着した上、ズレをキッチリ補正して接着完了!
あとはじっと呂瀬漆の乾燥硬化を待つのみですね。

つづく。。。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:16Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り楽器装飾

2023年01月12日

新頭金の螺鈿パーツ・・・

新頭金の夜光貝パーツ・・・

新頭金の夜光貝円盤パーツ製作を進め、ほぼ完成しました。
お客様のご了承が出れば、真鍮本体に接着して完成です。


艶アリの黒漆をフクロウ彫刻の凹部に塗り込み、乾燥完了。。。


いよいよ仕上げに入ります。まずは余分な所をカットし、、、


ダイヤモンドヤスリで円形に削って、、、


慎重に塗面を研磨します。。。


目の細かい研磨フィルムも使って、、、


大枠で完成しました。


更なる輪郭調整と、、、


裏研磨で厚み調整も。。。


真鍮土台との厚み合計=2.5mm。
図面表示のご指定寸法通り。これでOKです!


微細秤で、頭金のご指定重量=3~5gの範囲内に収まっていることも確認。


これでOKを頂けましたら、、、


真鍮土台にくっつけましょう(^^)/

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 16:23Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り楽器装飾

2022年12月04日

能管頭金の再製作② 真鍮ベース加工・・・

能管頭金の再製作② 真鍮ベース加工・・・

新しく作り直している能管(笛)の頭金。
他の仕事もしながら、まずは真鍮ベースを突貫で完成させました。

やはり金属加工というのは、
本職でなく慣れてない者にとっては手がかかるもの(^^;


最初のマーキングが終わったところから、、、
ダイヤモンド糸鋸でザクザクと切れ目を入れて行きます。


第1カットOK!


カット面をヤスリがけ、、、


ペーパーがけも。。。


突起用のマーキング~


そしてまたカット作業を再開~


断面にも切れ込み入れて行きます。。。


第2カットOK!


そして更に切れ込みをば、、、


第3カットOK!


そして最後=突起側面のマーキング~


2種類のニードルでゴリゴリと穴開け~


ひたすらゴリゴリと、、、


一旦貫通しました。。。


ここからはさすがに機械の手を借りて~(^^;


大枠の加工完了!
ん!?何か見たことあるような、、、


凱旋門!!(;'∀')


さらに突起の頭を削って図面の形状に仕立てます。。。


これでようやく完成!!


何と言いますか、、、う~む工程多し(-_-;)


これで真鍮ベースは出来上がりました。
あとは少し先になりそうですが、
フクロウ絵柄の夜光貝彫刻プレートを作製します。

つづく。。。


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 18:33Comments(0)楽器装飾

2022年12月02日

能管頭金の再製作① 図面作成と準備・・・

能管頭金の再製作① 図面作成と準備・・・

9年程前に能管(笛)の頭金(かしらがね)をご依頼頂いたお客様から、
装飾部が傷んで来たということで先月下旬にお問い合わせがあり、
頭金を新たに作り直すこととなりました。

先週から準備に着手しておりますが、
他ご依頼案件と並行して、今月から製作開始です。


前回作った時とサイズは同じ。
その時に割り出した修正値を図面に落とし込み、
尚且つ新しい仕様に対応するようフクロウの図案も少し簡素化。

それでも相当細かい絵柄ですので、
果たしてこのように再現できるか微妙!
テストと修正が必要となりそうです(^^;


数日前に注文先から材料の真鍮が届いたとの連絡アリ!
本日、博多方面へ取りに行きました。


真鍮はベース金具として。。。
金具表面に取り付けるフクロウパーツは
夜光貝の薄板で表現する予定です。


真鍮に加工基準ラインを入れます。。。


テープを加工幅にカットして真鍮棒に貼り付け
テープ目に沿って加工ラインに刃を入れて行きます。。。


この1.75mmという細い幅は、
頭金のベース厚みとなりますので、特に正確に!


基準ラインマーキング完了。

まずは真っ二つにカットして、、、
一つは予備として取っておき、もう一つを本番用として加工。

金属加工は慣れないので、
前回なかなか苦労した工作だったように記憶しておりますが、
今回は果たして!?(^^;

つづく。。。
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 17:55Comments(2)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾

2022年03月16日

ギターヘッドのライン入れ・・・

ギターヘッドのライン入れ・・・

ギターヘッドインレイの製作ご依頼のあったお客様から、
再びご依頼あり!今回はライン入れのご注文です。


今度はヘッド側面へライン挿入。
ということでまずはマスキングから。。。


1.5mmのマスキングラインを剥いで、
#400ペーパーで研磨。


これで準備OK。


硬化剤入りのシルバーウレタンインキを塗って、、、
乾燥させました。


このまま透明クリヤーを上塗りしますと、
ラインのエッジが立ちすぎますので、
マスキングを一旦剥ぎます。。。


剥ぎ終わり~これで終了!!
と言いたいところですが、、、(^^;


ラインエッジから僅か0.05mmほど外側にマスキングし直し、


ウレタンクリヤー塗ります!(^^;

こうすることで、ラインエッジの山が
少しだけ立たなくなることでしょう。


乾燥後にマスクを剥いで完成です。
上の写真となんら変わり映えしませんが~(^^;
ともかくこれで完成です!




  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:58Comments(0)塗装楽器装飾

2020年12月08日

修復琵琶展へ・・・

修復琵琶展へ・・・


 本日初日となるドリアーノ・スリス氏の修復琵琶展へ。
 修復における専門的な知識や、展示琵琶にまつわるお話など
 詳しくご説明を頂き、大変ありがたく思います。


当工房では琵琶に関するご依頼がこれまで幾つかありましたが、
琵琶についてはまだまだ分からないことばかり。
また後日伺って、より詳しく鑑賞するつもりです。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:57Comments(0)よもやま話楽器装飾

2020年10月01日

完成した琵琶塗りのご紹介・・・

完成した琵琶塗りのご紹介

ご依頼があってから、構想~完成までほぼ1年をかけて製作した琵琶塗りのご紹介です。


 今回は、ご自身が持つ筑前琵琶に塗りと装飾を施して欲しいとのご依頼でした。
 ご依頼主は、葵祭で有名な京都上賀茂神社の氏神を祀る加茂氏のご家系ご出身で、
 元宝ジェンヌでもらっしゃる方です。

 そのようなご自身の生涯、そして筑前琵琶に纏わる内容を
 琵琶塗りの中に込めるということで製作を承りました。

 ご依頼主のご希望もありましてモチーフは「植物」となり、
 お誕生日や宝塚歌劇団での在団年数、筑前琵琶(五弦の琵琶)など、
 関係する数(五、六、十一)で構成するという方向で意匠をまとめました。


 以上のような内容を軸として図案を作成し、仕様はそこから考えて行く・・・
 という流れで制作が進んで行きました。


 そして、腹板全体を色漆塗りに、加飾の大半を螺鈿細工にして
 部分的に蒔絵を施すということとなりました。


 ◎琵琶は霊的な楽器。図案をイメージする上で、少しストーリーを考えてみました・・・
 「音色の鳴る方へ十一輪の菫が導かれる。」
 「背景(中央)には凛として橘が立つ。華やかな流派としての象徴。花と実と成れ。」
 「傍らには双葉葵が茂り、菫と橘を見守る。」*源流・守護としての双葉葵
 「上方には天を向く橘と菫の花弁あり。『成就』を表す。」*橘と菫の会合。象徴的、紋章的に。

 ◎意匠的なコンセプトは・・・
 女性的に。エレガントで華やかな雰囲気に。
 東洋と中東の中庸的なイメージにして、格調ある紋様に。
 ベースの色漆には京紫を用いて「京都」を印象付け、緑や橙色をアクセントカラーに。


 図柄全体の右下には、、、
 源流としての『双葉葵』を。


 *『双葉葵』は、京都 上賀茂神社のご神紋です。


 中央には、筑前琵琶の創始者=橘旭翁とその流派=橘流に因んで「橘」を。
 *橘の実は、橙色の裏彩色を施したアワビ薄貝に金梨子地塗りを施して。


 *花弁には白蝶厚貝をレリーフ調に。
 *花弁の周囲には、金丸粉蒔絵で五つの音色の輝きを。


 そして、加飾全体をまとめるものとして、宝塚歌劇団の象徴=「菫(すみれ)」を配しました。
 *自然に見られる菫の姿から、紋様的な「菫唐草」へと変容させてみました。





実際に製作に入ってからも、新たな試みをしていた為に
試行錯誤が繰り返され、かなり時間や手間を要しました。

楽器としての機能の維持(下地設計)、白蝶厚貝を貼るタイミング、
橘の実をどのように表現するか・・・など、幾つも課題がありましたが、
何とか頭をひねりながら一つ一つクリヤーして、
やっと完成にこぎつけることが出来ました。

ここまで到達出来たことは、お客様の熱意とご協力の賜物でもあり、
心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました!^^

 ◎琵琶名称
  「紫漆蝋色塗 橘葵紋様菫唐草螺鈿琵琶」


☆本日は中秋の名月。ご依頼主が「月見の歌会」にて本琵琶を奏でられました。
 幽玄な世界をぜひご堪能下さい^^ icon100

 https://www.facebook.com/events/317206839724232
 10月1日 17:30〜20:00
 月見の歌会 -披講と静謐、笛と琵琶の豊かな時間

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 11:14Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り楽器装飾

2020年09月14日

琵琶塗り終わり、発送・・・

琵琶塗り終わり、発送・・・

ようやく琵琶塗りが終わり、さきほど発送しました。


 最後に磨きを入れた、半手(海老尾)と糸巻棒。
 磨き粉を使って布磨きを施しました。


 今回の梱包段ボールは、蓋被せ型に、、、
 どうか無事にお客様の元へ届きますように~祈!  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 16:00Comments(0)漆塗り楽器装飾

2020年09月12日

琵琶の部品修理・・・

琵琶の部品修理・・・

いよいよ最終段階に入っている琵琶塗りは、
納品前の修理も完了しました。

外れかかっていた弦が掛かる部品も、膠で海老尾へ接着。
要のところですから慎重に。。。


 琵琶本体に入っている亀裂などは修理済みで、
 この部品(右端)が最後となります。。。
 竹製ですが、もしかしますとあの高価な煤竹ですかね~汗!


 諸々準備して、、、


 残っている古い膠を研磨や水拭きで除去して、、、


 ニッパーで膠を粉々にして、、、水に入れます。


 これを60度以上にならないように加熱して、
 オイスターソース似のとろみ加減に。。。
 蜂蜜のようなベトベトになってはいけません~
 また、サラサラ~でもいけません!(^^;)


 慎重に貼り付け!
 一回失敗して再度やり直し、、、上手く行きました。


 2日経って確認~~ガッチリくっついているようです、、、良かった(^_^;)


さて、琵琶塗りも色々な加飾が全て終わりました。
10月の頭に公開予定ですので、
またよろしくご覧頂ければと思います。。。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 19:31Comments(0)木工楽器装飾

2020年08月15日

ギターヘッドインレイ完成~納品へ・・・

ギターヘッドインレイ完成~納品へ・・・

ギターヘッドインレイは、艶消しクリヤー塗装の乾燥が終わり、
納品の為の最終チェックと金具取り付けを行いました。


 塗装のためのマスキングを取り除いて、
 テープの跡などを清掃し、塗面などの最終チェックを完了。
 金具をケースから取り出して、、、


 所定の位置にセッティング、オン!
 金具の裏側をねじ止めします。


 ヘッドを表向きにして、、、


 ボルト付き弦巻き金具をしっかりペンチで留めて完了~。


 ケースに納まって下さい~。
 納品まで暫くお休みなさいまし^^
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 23:01Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工塗装楽器装飾

2020年08月06日

ギターヘッドの仕上げ塗装・・・

ギターヘッドの仕上げ塗装・・・

本日の工房作業は、アワビ貝殻のパーツ加工に加え、
ギターヘッドインレイ装飾の最終工程=艶消しクリヤー吹付塗装です。


 800番のサンドペーパーで最終研ぎをキッチリと。
 先日行ったピンホールの補修跡なども研ぎ切りました。。。


 マスキングの手直し。
 6つの穴も詰め直します。。。


 艶消しクリヤーを調合して、いよいよ最終塗装。
 この調合がですね、、、上手くいってればよいのですが(^^;
 ヘッド側面や裏面の元々の艶消し塗装と表情をそろえる必要があります。
 何分艶消しなのか、、、4分艶消し(40%艶が引けた状態)くらいとみて、
 艶消し剤をクリヤーに25%添加!という決断を!
 このさじ加減が仕上げの明暗を分けると言っても過言ではありません(^^;)


 吹いてみました(あっさり)。
 艶消しクリヤーは、厚吹き禁物!高熱による強制乾燥も✕!
 ということで、サラッと吹きます。
 厚過ぎ、熱し過ぎだと、艶が出ちゃいますので。


 ま~こんなもんでしょうか~(^^;)
 吹きっぱなしで仕上げとなりますから、結構緊張するもんなんです。
 失敗は許されない~。

あとは3~5日ほどかけて自然乾燥を。
表面の凹凸はもう少し治まることでしょう。
マスクを外した時、側面の艶消しの感じと似てくれれば良いのですが、、、
100%合うことはまず無いと思いますが、80%くらい似れば御の字です^^
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:09Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工塗装楽器装飾

2020年08月03日

真夏の貝磨き・・・

真夏の貝磨き・・・

いよいよ夏も本格化。
昨日は工房でアワビ貝殻研磨作業です。
少し雲が出てましたが、それでもかなり暑くて、
貝殻だけでなく、自分も水浴びしながらの作業に(^^;


 まずは、遠方から送られてきた重量級6枚を、、、


 うちのエース重量級4枚も加わってもらい、計10枚。
 うちのは一番重いもので250g=超特々大であります!^^
 これで今回のご依頼製作分は確保できるかと。。。


 先日クリヤーを吹き付けたギターヘッド。
 ナンと!!左端に気泡が、、、(;'∀')

吹いてた時は分かりませんでしたが、
作業中のあの大雨がやはり原因でしょうか、、、
後から浮いてきんでしょうね(泣)

ま~仕方ないので、この後しっかり研いで、
ほぼ全ての気泡を消しました。
螺鈿付近に残った10数個の気泡(ピンホール)は、
クリヤーを点差しして補修しました。
次こそは、艶消しクリヤーで仕上げ吹きを!(^^;


いや~、それにしても暑かったです。
帰宅してニュースを見ると、35℃くらいはあったらしいですが、、、
もう50過ぎて体力減退して来てますので、身体気を付けんとですね(^^;  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 08:28Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工塗装楽器装飾

2020年07月29日

梅雨末期~梅雨明け工房・・・

梅雨末期~梅雨明け工房・・・

それにしても、今日の糸島工房作業は、なかなか劇的でありました(^^;


 工房に到着してしばらくすると、、、
 凄いドシャ降りです。


 雨粒がデカい!!


 呆気に取られてばかりもいられず、、、
 まずはアワビ選別作業。


 次に、真珠貝の磨き作業。。。


 そんでもって本日のメイン、、、


 ギターヘッドの塗装作業。
 吹き付けてはドライヤーで乾かし~を繰り返し、けっこう厚吹きします。。。


 ナンと!再びのドシャ降り!!
 今回の方が凄い~~第2波です(^^;
 塗装に悪影響が出るやん!湿気大敵、やめて~!!


 工房脇の側溝が、、、
 みるみるアップアップになって行きます~
 もうオーバー!!汗


 大雨止んだと思ったら、、、
 いきなりスッキリ!何じゃこりゃ~汗
 どうやら梅雨明けのようです(^^;


 磨き上がった真珠貝。
 来月はどうか穏やかな月になりますように。。。(^^;

  


2020年07月27日

インレイの接着・・・

インレイの接着・・・

先日から本作業に入っているギターヘッドのインレイ装飾。
本セッティングが完了し、その後の作業へ。。。


 透明クリヤー塗料での接着が完了しました!
 インレイの周辺にまでクリヤーが塗られ、段差がついていますので、、、


 これを様々な研磨ツールを使って研いで、
 クリヤーとヘッド表面との段差を無くしました。。。

さて、この後はヘッド表面全体にクリヤーを吹き付けて行きます。
つづきはまた後日に~。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 10:46Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工楽器装飾