2018年09月29日
中国古筆の修理が完成・・・
中国古筆の修理が完成・・・
中国古筆の修理(補修)が完成しまして、昨日お客様の元へ直接納品に行きました。
これ迄で一番難しい修理作業となり、色々と試行錯誤するうちに
昨年2月から1年7ヶ月という長期間でお預かりすることとなってしまいましたが、
何とか整えてお渡しすることが出来て、だいぶホッとしております。
今回もまた凄く勉強になったご依頼でした。

完成した全体像です。
清朝初期(乾隆帝などの時代/およそ300年程前)のものと思われる筆で、
お預かりした当初は、螺鈿の約7割が剥離=消失し、朱漆も一部が剥げ、
金彩も所々大きな傷やこすれ落ちた箇所が見受けられる状態でした。

基本的に雲竜図です。
龍の顔はほぼ二つとも剥げ落ちた状態でしたが、
資料図案やわずかに残った部位を手掛かりに、描き起こしてみました。

筆筒をはめた状態の全体像です。

筆筒の拡大写真です。
☆修理に至るまでの高低をいくつかご紹介します(以下)。

下地がむき出しに。。。
今回の修理で一番難儀なのがこの下地。何で出来ているかが謎でした。。。
水が付くと強烈な粘性を帯び、乾燥すると硬化するのです。
膠ですと通常の温度の水では溶けにくいはずで、小麦粉や米粉とはかなり違う粘性の強さ。
植物由来のような気もしますが、もう300年も経っているのに、
粘着性の機能を保持しているとは。。。この組成は何なのか?
以上の通り、この下地は水で溶け、周囲の朱漆が侵され剥離し出すので、
水研ぎが出来ないという事態に。
空研ぎを中心に、水を一切使わない作業での調整が続きました。

朱漆が剥げたところも大変でした。。。
だいたい色漆は、元の色と合わせるのが非常に難しいのです。
色の調合、乾燥条件の研究を進めましたが、
結局求めるレベルの80%くらいしか到達しませんでした。
最終的には、エイジング処理で既存の朱漆と何とか風合いを似せることで、
周囲とのバランスを図った次第です。

螺鈿補修は、フィルムトレースでの正確な形状写しから実施。

螺鈿接着の研究。
膠での接着をまずは試み、アレコレと調合を試すも、、、なかなか上手く行かず。

研究と並行して螺鈿加工は進め、、、トリーミングを。

既存螺鈿と色味が合う所を慎重に選んでカット。。。

螺鈿は、形状が複雑なものもあり、
尚且つ筆の曲面にも馴染ませなければならないため、
少し特殊な方法で熱矯正をかけました。

仮置きをして調整をかけながら、、、

湾曲具合も確かめながら、、、

膠による螺鈿接着研究は、袋小路に入り込んでいました。。。
結果的には接着強度が足らず、既存下地との色味合わせも上手く行かず、
この努力は結局実りませんでした。。。

次なる接着手段を発案。。。
現代的なテクニックを使う方向で研究を進め、、、

色々と試した結果、接着強度の高い樹脂に着色して
下地と似た色合いを出すという方向で落ち着きました。

接着に伴い、螺鈿をガチガチにテープで固定。
それでも足りない場合は、重石をかけて、、、

螺鈿接着が終わったところです。
この後、研ぎを施し絵付けを行って螺鈿は完成。
金彩は、水を僅かに湿らせた綿棒で金彩表面に付着した汚れを落としつつ、
傷や擦れたところには摺漆を施して金消し粉を蒔き付け、
引っかき線を針で入れての補修となりました。
この金彩も箔なのか金泥なのかはよく分かりませんでしたが、
強力に漆と密着していることで、清掃作業は比較的楽に進められました。
修理作業の概要は以上の通りですが、
ここまでハードルが高いことになろうとは思わず、
骨董品修理の奥深さを痛感した次第です。
それにしても、先人の知恵には計り知れないものがあるものですね~汗。
中国古筆の修理(補修)が完成しまして、昨日お客様の元へ直接納品に行きました。
これ迄で一番難しい修理作業となり、色々と試行錯誤するうちに
昨年2月から1年7ヶ月という長期間でお預かりすることとなってしまいましたが、
何とか整えてお渡しすることが出来て、だいぶホッとしております。
今回もまた凄く勉強になったご依頼でした。

完成した全体像です。
清朝初期(乾隆帝などの時代/およそ300年程前)のものと思われる筆で、
お預かりした当初は、螺鈿の約7割が剥離=消失し、朱漆も一部が剥げ、
金彩も所々大きな傷やこすれ落ちた箇所が見受けられる状態でした。

基本的に雲竜図です。
龍の顔はほぼ二つとも剥げ落ちた状態でしたが、
資料図案やわずかに残った部位を手掛かりに、描き起こしてみました。

筆筒をはめた状態の全体像です。

筆筒の拡大写真です。
☆修理に至るまでの高低をいくつかご紹介します(以下)。
下地がむき出しに。。。
今回の修理で一番難儀なのがこの下地。何で出来ているかが謎でした。。。
水が付くと強烈な粘性を帯び、乾燥すると硬化するのです。
膠ですと通常の温度の水では溶けにくいはずで、小麦粉や米粉とはかなり違う粘性の強さ。
植物由来のような気もしますが、もう300年も経っているのに、
粘着性の機能を保持しているとは。。。この組成は何なのか?
以上の通り、この下地は水で溶け、周囲の朱漆が侵され剥離し出すので、
水研ぎが出来ないという事態に。
空研ぎを中心に、水を一切使わない作業での調整が続きました。
朱漆が剥げたところも大変でした。。。
だいたい色漆は、元の色と合わせるのが非常に難しいのです。
色の調合、乾燥条件の研究を進めましたが、
結局求めるレベルの80%くらいしか到達しませんでした。
最終的には、エイジング処理で既存の朱漆と何とか風合いを似せることで、
周囲とのバランスを図った次第です。
螺鈿補修は、フィルムトレースでの正確な形状写しから実施。
螺鈿接着の研究。
膠での接着をまずは試み、アレコレと調合を試すも、、、なかなか上手く行かず。
研究と並行して螺鈿加工は進め、、、トリーミングを。
既存螺鈿と色味が合う所を慎重に選んでカット。。。
螺鈿は、形状が複雑なものもあり、
尚且つ筆の曲面にも馴染ませなければならないため、
少し特殊な方法で熱矯正をかけました。
仮置きをして調整をかけながら、、、
湾曲具合も確かめながら、、、
膠による螺鈿接着研究は、袋小路に入り込んでいました。。。
結果的には接着強度が足らず、既存下地との色味合わせも上手く行かず、
この努力は結局実りませんでした。。。
次なる接着手段を発案。。。
現代的なテクニックを使う方向で研究を進め、、、
色々と試した結果、接着強度の高い樹脂に着色して
下地と似た色合いを出すという方向で落ち着きました。

接着に伴い、螺鈿をガチガチにテープで固定。
それでも足りない場合は、重石をかけて、、、

螺鈿接着が終わったところです。
この後、研ぎを施し絵付けを行って螺鈿は完成。
金彩は、水を僅かに湿らせた綿棒で金彩表面に付着した汚れを落としつつ、
傷や擦れたところには摺漆を施して金消し粉を蒔き付け、
引っかき線を針で入れての補修となりました。
この金彩も箔なのか金泥なのかはよく分かりませんでしたが、
強力に漆と密着していることで、清掃作業は比較的楽に進められました。
修理作業の概要は以上の通りですが、
ここまでハードルが高いことになろうとは思わず、
骨董品修理の奥深さを痛感した次第です。
それにしても、先人の知恵には計り知れないものがあるものですね~汗。
2018年09月25日
朱の乾漆粉づくり・・・
朱の乾漆粉づくり・・・
以前に行った朱の乾漆粉づくりを、再びやることになりました。

まずは朱漆(赤口)をガラス面に塗ります。

2度塗るのですが、1回目は少し厚めに塗り過ぎたのか、一部にちぢみが出てしまいました。
しかし、このくらいのちぢみであれば、しっかり乾かせば問題ありません。

ガラス板に塗った朱漆を乾燥させて剥がしました。
まだ少し柔軟性があるのですが、
これを工房に持って行って、ある処理を施します。
以前に行った朱の乾漆粉づくりを、再びやることになりました。

まずは朱漆(赤口)をガラス面に塗ります。

2度塗るのですが、1回目は少し厚めに塗り過ぎたのか、一部にちぢみが出てしまいました。
しかし、このくらいのちぢみであれば、しっかり乾かせば問題ありません。

ガラス板に塗った朱漆を乾燥させて剥がしました。
まだ少し柔軟性があるのですが、
これを工房に持って行って、ある処理を施します。
2018年09月22日
ビリヤードキュー届く・・・
ビリヤードキュー届く・・・

遠方のご依頼主より、ビリヤードキュー:バラブシュカ/BALABUSHKAが届きました。
素晴らしいキューなので緊張しますが、、、
これから暫くの期間をかけて、インレイ(シェル象嵌)を施します。

遠方のご依頼主より、ビリヤードキュー:バラブシュカ/BALABUSHKAが届きました。
素晴らしいキューなので緊張しますが、、、
これから暫くの期間をかけて、インレイ(シェル象嵌)を施します。