スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2018年12月30日

2018年 工房仕事納め・・・

2018年 工房仕事納め・・・

今日は工房仕事納めです。
この2018年も様々な制作を行いましたが、
明日で終わりとなりますね。


 今年も、工房の鎮守として繁っていた切り株くん。
 すっかり葉が落ちていますね。
 芽吹きは3~4月頃になるでしょうか。。。


 ずっと製作を進めてきたビリヤードキューインレイも、いよいよ大詰めです。
 シェルパーツの象嵌が終わり、透明クリヤーを6回も筆差しした状態で現在乾燥中。
 昨日のうちに銀箔貼りの段取りを行いました。
 マスキングして研ぎを入れて。。。


 銀箔の準備も。。。



 銀箔は、和紙に挟まれた状態にして、10mm幅でカットして行きます。


 本日、いよいよ本番。
 まずはシルバーインキでベース塗装して、、、


 銀箔を貼る作業。
 筒状にグルっと箔を貼るのは、今回が初めてのような。。。
 難しいながらも何とか貼ることが出来ましたが、
 今日は本当に寒くって、なかなか乾燥に時間がかかりました。
 40分程ドライヤーで少しずつ温めてから箔払い。
 その後にウレタンクリヤーをホドホドに吹き付けました。。。


 自宅に持ち帰ったキュー。
 冬用の速乾タイプシンナーを使ったとは言え、今回は熱をあまりかけられないので、
 そんなに早くクリヤーが完全乾燥・硬化するわけではありません。
 工房から自宅に持ち帰るにあたっては、
 まだ硬化不十分なインレイクリヤーや、乾燥中の銀箔を傷めないような梱包手段を使いました。

 今年中に納品したかったのですが、、、
 諸々あってなかなか進まず、ちょっと残念です。
 年初までにしっかりクリヤーを乾燥させておいてから仕上げることにしましょう。



 工房の机上には、例年通り、うちの「エース」をお守りとして置いてきました。


 帰りがけにパチリ☆
 寒空にカラスが数羽、、、ブルっときましたが、
 今年を少し思い返す一瞬でありました。


今年も色々とありましたが、関わって頂いた皆様には本当に感謝です!!
来年が、皆様にとって良い年となりますようお祈り申し上げます!
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 21:50Comments(0)制作日記螺鈿(らでん)・貝細工塗装

2018年12月24日

シェルパーツで出来た十字架の修理・・・

シェルパーツで出来た十字架の修理・・・


 カトリック信者の方からのご依頼で、
 シェルパーツで作られた十字架の修理を行っておりましたが、
 このほど完成し、本日=クリスマスイブに教会にてご本人に納品致しました。

この十字架は200年ほど前にヨーロッパで作られ、
約半世紀前にスペインから遠い異国の地である日本へ福音宣教のため来られた
神父様が受け継いでこられたものと聞いております。
この神父様は現在大変ご高齢とのことで、福音宣教を行ってらっしゃった教区から
最後の余生を過ごされる遠方の施設に移られるに当たり、
ご依頼主の信者さんがこの十字架を譲り受けたというお話でした。
十字架はかなり傷んでおりましたが、このような経緯を知り、
神父様の尊い御心に敬意を表すためにも、心を込めて修理した次第です。


 修理前の十字架。
 シェルパーツの欠損が至る所に見られ、剥がれかかっている部分も多々ありました。
 キリスト像の左手に打ち付けられた釘も抜けて無くなっています。
 シェルパーツと木材の接合部分には膠など動物性の接着剤が使われているようでしたが、
 これがかなり劣化している状態でもありました。


 まずは補完するパーツ作り。


 角の欠損部分の中には、難しい形状もありました。


 補完パーツが全部揃いました。
 この十字架には白蝶貝とアバロン(玉虫色のアワビ貝)が使われているようです。
 アバロンは、当工房在庫の数あるアワビ貝の中でも
 特に色味の似たものをピックアップして作りました。
 白蝶貝の補完パーツは、表面が奇麗に仕上がり過ぎると
 既存のパーツとの違いが際立つと思われましたので、
 似たような傷をわざと入れて違和感が出ないようにしました。


 釘は、手持ちの真鍮釘の中でも最小のもの(特小)を使い、
 釘頭をヤスリで削って既存の釘とサイズを合わせました。


 なぜか穴の位置がちょっとだけ合わず、、、ドリルで慎重に切削。


 これは滅多にない経験です。
 キリスト像の手に釘を打ち付けることになろうとは、、、
 割れないように、砕けないように、慎重に。。。


 釘や釘穴全体に漆を塗り込んで、古びた感じが出るよう釘頭の表面を荒らしました。
 どうか「あなた」の傷が漆の樹液で癒されますように。。。(祈)


 知人より最近頂いた上質な和紙の上に十字架を置いて、
 補完シェルパーツの接着作業を実施。
 意図せずしてまるで儀式のような雰囲気になりましたが、
 ここが一連の修理作業の肝になる工程でしたので、祈るような気持ちもありました。

 かなり難しい接着であることが予想されたため、
 タイトボンド(木工用ボンド)で仮止めし、一旦一番良い姿勢で固定させてから
 エポキシ樹脂で強力に本接着させるという2段階接着を行いました。
 これは初めての試みだったのですが、
 乾燥速度や接着性能など、それぞれの特長を活かして安定した接着作業が出来ました。
 上手く行って本当に良かったです。

 本接着の際には、既存シェルパーツと木材との接合部分が劣化している全箇所に
 樹脂を含浸させ、補強する作業も行いました。
 但し、樹脂を含浸させると硬化後に艶が出てしまうため、
 元々の古びた様子に見えるようサンドペーパーで表面を荒らし、艶を消す処置も施しました。

 最後に、正面の白蝶貝とアバロンで出来た長方形パーツ間の隙間へ
 独自に調合した漆をしっかりと含浸させ、
 こちらも経年変化が感じられるような研磨処理を施して、修理作業が完了となりました。


 台座製作のご依頼もありまして、、、白木の材料を使い、
 十字架を挿し入れる穴を造作した台座を作りました。
 ☆穴の底にはクッションを付けて。


 完成した十字架と台座です。


この十字架はどのような経緯と歴史をたどってきたのでしょうか?
想像の域は脱しませんが、約200年間、決して平たんな道では無かったと思います。

今回の修理につきましては、いま出来得る最大限のことをさせて頂きました。
新たな持ち主の元でますます輝きを増し、今後も永く続くであろうお祈りの灯となれば幸いです。

***メリークリスマス***

☆神父様に神の祝福がありますように。

♪映画「ミッション」より「ガブリエルのオーボエ」icon100
♪ニュージーランド クライストチャーチ出身の歌手 ヘイリー・ウェステンラが歌う
 「ガブリエルのオーボエ」icon100


*映画「ミッション」icon100
 西欧列強による世界分割(植民地支配)が進行する時代、
 キリスト教布教のため南米に派遣されたスペイン人宣教師=ガブリエル神父たちの
 葛藤と挑戦が描かれた作品。16~18世紀の史実を元に製作されている。
 カンヌ映画祭グランプリ(パルム・ドール)受賞作。

 ※映画の紹介映像には一部厳しい場面もありますが、何卒ご了承下さい。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 19:37Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工

2018年12月16日

インレイパーツが完成・・・

インレイパーツが完成・・・


ビリヤードキューのインレイ(シェルパーツ)が完成しました。
これからキュー本体を彫って、パーツを象嵌し、研磨して、、、という工程を重ねて
インレイを進めて行きます。


 ノッチドダイヤ型は全部で8個、予備2個を作りました。
 クリスマス前なので、ちょっと星型にして撮影してみました(^^)


 丸型3サイズも完成。各サイズ予備2個ずつ製作。
 こちらも花形にして撮影(^^)

やはり他のご依頼なども諸々あって、時折中断しながらの作業となりそうですが、
年内納品に向けて頑張って行きます。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 11:29Comments(0)制作日記螺鈿(らでん)・貝細工

2018年12月04日

インレイ作業をコツコツと・・・

インレイ作業をコツコツと・・・

諸々案件を抱えているため、時折中断しつつも、
ビリヤードキューインレイの作業はコツコツ進めております。


 ノッチドダイヤ型のインレイは特に気を使いますが、
 糸鋸を駆使してナンとかなりそうです。

 糸鋸は、人工ダイヤモンド付き歯と、極細鋼製歯の併用で。
 成形は基本的にダイヤモンドヤスリやダイヤモンド砥石で。
 ダイヤモンドに頼りっぱなしですね☆


 こちらを予備も含めて計10ピース作っています。

12月=師走は、何かとバタバタして忙しくなりそうですが、
作業中はラジオを聴きながらリラックスして、一つ一つしっかりこなして行きましょう♪  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 17:57Comments(0)