2021年08月02日

平お膳 納品へ・・・

平お膳 納品へ・・・

もう一年半程前の2020年2月にお預かりしていた平お膳。
数々の中断を経て、この程やっと補修が完了しました。


 お直しが出来上がった状態の平お膳。


 お預かりした当初の塗りの様子。
 下地まで達した深い亀裂も含め、相当な数の傷が入っていましたので、
 これは大部分を塗り直す必要があると判断。


 お膳の側面は、既存の塗り色に近しい「うるみ色」を調合して塗り直し。


 側面は内側もあるので、この塗り直しはなかなかに作業ボリュームありました(^_^;)


 底面の黒漆も全て塗り直し!(^^;



 補修前の蒔絵の様子。
 蒔絵が薄くなり、やはり周辺にもたくさんの傷が入った状態でした。
 この蒔絵が入った面は朱漆が痩せて相当薄くなってます。これをどうするか!?
 蒔絵を残しつつ塗りの補修をする困難さはハンパありません!(^^;


 補修が完了した様子。
 深い傷が入ったところに、まず生漆や錆を注入して防水措置を施してから塗り補修。
 次に、上塗り(朱漆)の一部が研ぎ出されて中塗り(黒漆)が見えて来るのも覚悟して、
 ともか慎重に研磨と磨きを重ね、上塗りに入った傷を消して行きました。
 全部の傷は消し切れませんでしたが、摺り漆も数回行い、
 仕上げ磨きを丁寧に行って、ある程度目立たない状態にまでしました。


 消えた蒔絵にも何とか金粉を蒔いて。。。
 当初の蒔絵師の技には全く及びませんが!(-_-;)

ご予算の関係もあり、完璧なレベルには程遠いですが、
塗りも蒔絵も、応急処置的に塗り直しや補修を施す所までは行いました。
それでも、最初の状態からしたら、やれるだけやった、、、という感はあります(^^;
 

この平お膳は、ご依頼主のご実家(本家?)に古くからあったという品物。
お歳を召したご親族にお渡しされる予定だったのですが、
新型コロナウィルス蔓延の影響があって、なかなかお集まりになるのが困難な状況となり、
こちらも補修が難しいこともあって製作延長に拍車がかかり、納品がノビノビに!
本当にお待たせ致しましたっ!!(^^;

しかしながら、かなり劣化の進んだ漆器の直しだけに、
蒔絵補修や磨きのテクニックで得るものも大きく、相当な勉強となった品物でした。
ご依頼主には、陳謝と共に心より感謝を申し上げます!m(__)m  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 18:04Comments(0)制作日記金箔・金粉漆塗り