2022年05月20日
螺鈿三段箱の修理㉕ 摺り漆トラブル・・・
螺鈿三段箱の修理㉕ 摺り漆トラブル・・・
螺鈿三段箱修理は、最終段階の摺り漆&磨き工程に入っておりますが、
先日記述していたように、ここで最大の難関が待ち受けておりました(^^;

5日前に始めた本格的な全面摺り漆。。。
ところが、ナンと!摺り漆が乾かないのであります!
小さめの木切れに施した摺り漆は乾いているので、
漆自体に問題は無いようです。

特にこの上蓋が乾かない~!!なぜか!?(;'∀')

側面はまだ何とか艶は上がって来ましたが、
それでもやはり乾きがもう一つシャキッといかないので、
最後が決まらない感じ。上蓋に比べれば随分良いですが。。。
どうも、絵柄がある面が怪しい。。。(^^;

そして、塗り直しをした底面や小口は、、、
こちらはだいぶ乾きが上々で、艶はしっかり上がりそうです。
以上の様子を踏まえ、原因は何か?と思いを巡らした時、、、
摺り漆前に脱脂などはしていることから、
原因として考えられるのは、やはり既存の塗りの状態です。
不乾性状態が発生しているのではないか~ということですね。
◆原因その①=人の手油や塩分が付着している。
大変古い品物ですので、随分と多くの人が幾回も箱を触っております。
指先の油や汗に含まれる塩分が劣化した塗面に浸み込み、
それが悪さして、薄く擦り込んだ漆が乾かないということです。
◆原因その②=下地や螺鈿貼付に使われた膠。
膠が使用されたかどうかは知る由もありませんが、
既存の状態を観察するとそのように考えられる箇所が多数あります。
特に、岩山の青貝粉が蒔かれたところは、
摺り漆後に艶が引けやすく、ベタベタが中々抜けません。
そして、これは驚きの結果なのですが、、、
湿気を帯びた室の中に入れてもなかなか乾かず、
むしろ湿度が高いほど、表面がベタベタしてくるのです(^^;

既存塗りが一番薄くなっている上蓋は、この傾向が顕著。
一回摺り漆をはぎ取って、再挑戦です。
う~む、これはやはり膠くんが原因か~~~という
たいへんピンチな状況なのであります!!
それでも唯一の救いは、
湿度をホドホドの45~55%のムロ環境で二日ほど置いていると
何とか乾き気味になって来ることです。
一回呂色磨き粉で磨いてみましたが、
まだまだ完全乾燥には程遠く、
艶引けが生じる部分も随分残りますが、
何とかちょっとずつは艶上げが進みそうな感じです。
諸々の検証と検討を重ねた結果、
対処法は以下のようになって来ておりまして
現在実践している次第です。
①乾燥が早めの漆を使う。
②湿度があまり高くない環境下で数日乾燥させる。
③呂色磨きは磨き粉のみで行い、植物油を併用しない。
④呂色磨き後の清掃では、水と中性洗剤での洗浄はせず
しっかり粉を掃って、状況が許せば無水エタノールでサッと拭き上げる。
特に③④は、通常の磨き作業法ではないため、
相当な変わった球を投げるような苦肉の策ではありますが、
まずはやってみて、何とか少しでも良い状態に仕上がるよう
引き続き努力していきたいと思います!
つづく。。。
螺鈿三段箱修理は、最終段階の摺り漆&磨き工程に入っておりますが、
先日記述していたように、ここで最大の難関が待ち受けておりました(^^;
5日前に始めた本格的な全面摺り漆。。。
ところが、ナンと!摺り漆が乾かないのであります!
小さめの木切れに施した摺り漆は乾いているので、
漆自体に問題は無いようです。
特にこの上蓋が乾かない~!!なぜか!?(;'∀')
側面はまだ何とか艶は上がって来ましたが、
それでもやはり乾きがもう一つシャキッといかないので、
最後が決まらない感じ。上蓋に比べれば随分良いですが。。。
どうも、絵柄がある面が怪しい。。。(^^;
そして、塗り直しをした底面や小口は、、、
こちらはだいぶ乾きが上々で、艶はしっかり上がりそうです。
以上の様子を踏まえ、原因は何か?と思いを巡らした時、、、
摺り漆前に脱脂などはしていることから、
原因として考えられるのは、やはり既存の塗りの状態です。
不乾性状態が発生しているのではないか~ということですね。
◆原因その①=人の手油や塩分が付着している。
大変古い品物ですので、随分と多くの人が幾回も箱を触っております。
指先の油や汗に含まれる塩分が劣化した塗面に浸み込み、
それが悪さして、薄く擦り込んだ漆が乾かないということです。
◆原因その②=下地や螺鈿貼付に使われた膠。
膠が使用されたかどうかは知る由もありませんが、
既存の状態を観察するとそのように考えられる箇所が多数あります。
特に、岩山の青貝粉が蒔かれたところは、
摺り漆後に艶が引けやすく、ベタベタが中々抜けません。
そして、これは驚きの結果なのですが、、、
湿気を帯びた室の中に入れてもなかなか乾かず、
むしろ湿度が高いほど、表面がベタベタしてくるのです(^^;
既存塗りが一番薄くなっている上蓋は、この傾向が顕著。
一回摺り漆をはぎ取って、再挑戦です。
う~む、これはやはり膠くんが原因か~~~という
たいへんピンチな状況なのであります!!
それでも唯一の救いは、
湿度をホドホドの45~55%のムロ環境で二日ほど置いていると
何とか乾き気味になって来ることです。
一回呂色磨き粉で磨いてみましたが、
まだまだ完全乾燥には程遠く、
艶引けが生じる部分も随分残りますが、
何とかちょっとずつは艶上げが進みそうな感じです。
諸々の検証と検討を重ねた結果、
対処法は以下のようになって来ておりまして
現在実践している次第です。
①乾燥が早めの漆を使う。
②湿度があまり高くない環境下で数日乾燥させる。
③呂色磨きは磨き粉のみで行い、植物油を併用しない。
④呂色磨き後の清掃では、水と中性洗剤での洗浄はせず
しっかり粉を掃って、状況が許せば無水エタノールでサッと拭き上げる。
特に③④は、通常の磨き作業法ではないため、
相当な変わった球を投げるような苦肉の策ではありますが、
まずはやってみて、何とか少しでも良い状態に仕上がるよう
引き続き努力していきたいと思います!
つづく。。。
この記事へのコメント
おはようございます。大変なピンチを迎えていますね。リメイクの品物では、このようなトラブルも発生するのでね、対処方法が功をそうするようにと願わずに入られません。
Posted by H.W at 2022年05月21日 05:01
H.Wさま
おはようございます。本当に大変なピンチっぷりであります!だれかピンチヒッターが欲しいくらいです( ;∀;)
今回のようなケースは初めてなんですが、漆リメイクではありがちなんでしょうね~(^^;
こちらは検証・試しを続けてまして、うちの数ある種類の漆のうち、なぜか赤呂色(チューブ)だけが比較的に早く乾燥してくれそうなことが分かりました。何とかこれで仕上げに持って行ければ~~と手を合わせております。(祈!)
おはようございます。本当に大変なピンチっぷりであります!だれかピンチヒッターが欲しいくらいです( ;∀;)
今回のようなケースは初めてなんですが、漆リメイクではありがちなんでしょうね~(^^;
こちらは検証・試しを続けてまして、うちの数ある種類の漆のうち、なぜか赤呂色(チューブ)だけが比較的に早く乾燥してくれそうなことが分かりました。何とかこれで仕上げに持って行ければ~~と手を合わせております。(祈!)
Posted by 瑞緒(ミズオ)
at 2022年05月21日 10:26
