2023年08月27日

鞘塗り完成・・・

鞘塗り完成・・・

鞘塗りが完成しました。

今回はデザイン作業から完成まで本当に長い期間を要しましたが、
御依頼主様の心温かいご理解を頂きながら進めることが出来ました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

鞘塗り完成・・・
鞘前面は、梅鉢羽紋、城山三峰、塩飽波に梅、そして二大松と盛りだくさん。

以前にもお話をアップしましたが、
ご依頼主は塩飽水軍から20代以上続く武家の当主。
御一族の逸話などを元に加飾したものとなっています。
出来上がってから気づきましたが、、、
ちょっとした絵巻物のようになっている感じですね。

鞘塗り完成・・・
鞘背面は、金鵄梅鉢紋、夜の城山三峰、塩飽波に梅を配していますが、
前面に比べて静寂な雰囲気になるよう仕立てました。

前面の紋が「太陽」とすれば、
背面の紋は「月」ということになるでしょうか。。。

鞘塗り完成・・・
最後の作業は、栗形への銀シトドメ接着。
形状や嵌り具合の調整で、なかなかこの栗形には苦労しました(^^;

鞘塗り完成・・・
今は無き二大松。
御一族の本家に空高くそびえていた二つの大松は、
第二次大戦で空襲の的となることが恐れられ、切られてしまったとのことです。

戦争は、、、大切なものを奪っていきます。
しかし、記憶と精神は残されていますね。

鞘塗り完成・・・
天界での安寧を祈ります。

鞘塗り完成・・・
瀬戸内に浮かぶ島に見立てた梅たち。

鞘塗り完成・・・
夜の城山三峰は、青貝粉蒔きで。
ようやく磨き上げることができ、輝き出しましたね~(^.^)

鞘塗り完成・・・
木製刀身が取り付けられた柄を鞘に差して。。。


これで一旦は当方での作業が終了しまして
最後の仕立ては鞘師さんや研師などの方々にして頂くこととなります。

鞘は、塗りを施すとベースの木地が僅かに動くこともあるらしく、
刀身のはまり具合を最良の状態にするため、
刀身と鞘内双方の微調整(研磨等)が必要となるというお話でした。
繊細な仕立て作業が最後に待っているわけです。

ブログでの更新は以上となりますが、
以上の通り、まだ最終的な納品には至っておりませんので、
お客様のお手元に届くまで、引き続き気を抜かずに対応して行く所存です。


鞘塗り完成・・・
これで見納め。。。
どうか最後まで無事に・・・と願いつつ送り出しましょう。
いってらっしゃい。




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この記事へのコメント
こんにちは、作業完成お疲れ様でした。螺鈿は本当に美しいですね。光線の具合もあるのかもしれませんが、梅の花のピンク系、三峰の青系、波の青系、そして周囲に散らされた粉蒔き、ずっと見ていると吸い込まれる錯覚を感じる気がするのは私だけでしょうか?武士社会の栄華を極めている時代はこの様な成り立ちで往来を闊歩する人もいたかもしれませんね。これからも観るだけの応援になりますがよろしくお願いします。
Posted by W,H at 2023年08月28日 10:26
W,Hさま

コメントを頂きましてありがとうございます。今回の制作も長らくしっかりとご覧頂きましてまことにありがとうございました。

螺鈿の美しさは生命の美しさを表しているものといつも思っております。貝殻は人間でいうところの骨に当たる部分ですが、貝たちが生命の証として残した殻に輝きが宿るとは・・・何とも神秘的であります。

武士の時代には鞘を当たり前のものとして人々は目にしていたのでしょうが、日本刀は当時の役割から今はだいぶ離れて、精神的な物、美術品としての価値を見出されています。また、この御刀の場合は、武士の時代と同様に、ご一族の守り刀、象徴としての役割と、エピソードを伝えるものとして存在して行くことにもなるでしょう。命の尊さや灯を末永く宿していってもらえればと願うばかりです。

以上長くなりましたが、今後とも当工房の活動をどうぞ宜しくご覧下さいませ。
Posted by 瑞緒(ミズオ)瑞緒(ミズオ) at 2023年08月29日 00:09
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