2020年02月21日
鞘塗りご紹介~龍虎螺鈿鞘(大小)
鞘塗りご紹介~龍虎螺鈿鞘
鞘塗りご紹介のラストは、今年に入って完成~納品した
『 黒漆蝋色塗龍虎螺鈿鞘(大小)』*仮称です。
難しい課題も多くあり、当方の様々な事情もあって製作に1年以上を要しました。
やっと先月納品することができましたが、内容の濃いご依頼を頂いた上、
長期間に渡って忍耐強く待って頂いたお客様には本当に感謝しております!

龍虎が睨み合う構図での鞘大小セットというオーダーです。
全体に青貝粉蒔きを行い、鐺付近に菊紋も配もしております。

龍鞘の表裏姿。

青龍は天界にて霊芝雲(れいしぐも)を伴い、天象の神として地上界を見下ろす、、、
そのようなイメージでもあります。

龍鞘裏面の霊芝雲たち。
霊芝は万年茸の中国での呼称。
この形を雲にかたどり、吉祥文様として古くから使われてきたとのこと。

虎鞘表裏姿。
古くから、虎には竹との組み合わせが多く見受けられますが、
紅葉とのミックスという斬新なオーダーを頂きまして、
色合いとしては金色の裏彩色を施した螺鈿にて紅葉を表してみました。

虎もまた、青龍と呼応するかのように青みの裏彩色を施して青虎と成す。
龍と虎は共に青もしくは緑系統とのオーダーがお客様からありましたが、
このことが、デザインする上でイメージ作りに欠かせない重要な要素となりました。

虎鞘裏面の紅葉螺鈿。

鞘大小の表裏に施した菊紋。
銀の裏彩色を施した螺鈿粒を菊紋にかたどり、研ぎ出し螺鈿として表現しました。
今回の製作で難しかったことは、
複雑な絵柄の螺鈿を、かなり曲面のきつい鞘躯体に対し、
いかにスムーズに貼付するかという点、
また、施した全ての螺鈿を一つの曲面とするため、
特に貼付した絵柄螺鈿を極力傷めることなく、
全体を研ぎ出して終わる点が挙げられます。
以上のミッションを成功させる為には、
平板で固い螺鈿の加工から貼付に至るまでのテクニック向上および刷新と、
マスキングテクニックの新たなアイディアが必要となりました。
これらの難点を何とかクリアでき完成と相成りましたが、
今回得られた技術や内容は、次なる製作に必ず活かして行けると確信しています。
鞘塗りご紹介のラストは、今年に入って完成~納品した
『 黒漆蝋色塗龍虎螺鈿鞘(大小)』*仮称です。
難しい課題も多くあり、当方の様々な事情もあって製作に1年以上を要しました。
やっと先月納品することができましたが、内容の濃いご依頼を頂いた上、
長期間に渡って忍耐強く待って頂いたお客様には本当に感謝しております!

龍虎が睨み合う構図での鞘大小セットというオーダーです。
全体に青貝粉蒔きを行い、鐺付近に菊紋も配もしております。

龍鞘の表裏姿。

青龍は天界にて霊芝雲(れいしぐも)を伴い、天象の神として地上界を見下ろす、、、
そのようなイメージでもあります。

龍鞘裏面の霊芝雲たち。
霊芝は万年茸の中国での呼称。
この形を雲にかたどり、吉祥文様として古くから使われてきたとのこと。

虎鞘表裏姿。
古くから、虎には竹との組み合わせが多く見受けられますが、
紅葉とのミックスという斬新なオーダーを頂きまして、
色合いとしては金色の裏彩色を施した螺鈿にて紅葉を表してみました。

虎もまた、青龍と呼応するかのように青みの裏彩色を施して青虎と成す。
龍と虎は共に青もしくは緑系統とのオーダーがお客様からありましたが、
このことが、デザインする上でイメージ作りに欠かせない重要な要素となりました。

虎鞘裏面の紅葉螺鈿。

鞘大小の表裏に施した菊紋。
銀の裏彩色を施した螺鈿粒を菊紋にかたどり、研ぎ出し螺鈿として表現しました。
今回の製作で難しかったことは、
複雑な絵柄の螺鈿を、かなり曲面のきつい鞘躯体に対し、
いかにスムーズに貼付するかという点、
また、施した全ての螺鈿を一つの曲面とするため、
特に貼付した絵柄螺鈿を極力傷めることなく、
全体を研ぎ出して終わる点が挙げられます。
以上のミッションを成功させる為には、
平板で固い螺鈿の加工から貼付に至るまでのテクニック向上および刷新と、
マスキングテクニックの新たなアイディアが必要となりました。
これらの難点を何とかクリアでき完成と相成りましたが、
今回得られた技術や内容は、次なる製作に必ず活かして行けると確信しています。
2020年02月21日
鞘塗りご紹介~波紋鞘
鞘塗りご紹介~波紋鞘
鞘塗りご紹介の二つ目は、昨年秋に製作した「波紋鞘」。
湖面に落ちる水滴で出来た波紋を、金箔、銀箔の切り廻し(砂子)で表現しました。

鞘全体像です。

鞘の曲面に対して曲線の表現。
以前、尺八につる草を絵付けしたことがありましたが、
その時と同様、デザイン画のイメージを実物に落とし込むのが難しかったです。

ベース色は深い緑色。
湖面のイメージ色としました。。。

箔を押した後は、よく乾燥させてから箔の上から摺り漆をうっすら施しました。
特に銀箔は空気中の酸化硫黄物で焼ける(錆びる)ので、摺り漆は欠かせません。
波紋鞘のイメージ作りにおけるコンセプトは、
伝統的仕様=金砂子を使いつつ、シンプルかつモダンに自然の情景を表すこと。
波紋の配置や間の取り具合にかなり気を配りながら、デザイン作業を進めました。
箔押しするエリアが限定的な上、鞘という3次曲面であるため、
いつもとは違うマスキングも方法を考え、作業を展開。
どういう手順・工程で進めるか、かなり思案した次第です。
まだまだ工夫の余地がある製作ではありましたが、
大変勉強になるご依頼でした^^
鞘塗りご紹介の二つ目は、昨年秋に製作した「波紋鞘」。
湖面に落ちる水滴で出来た波紋を、金箔、銀箔の切り廻し(砂子)で表現しました。

鞘全体像です。

鞘の曲面に対して曲線の表現。
以前、尺八につる草を絵付けしたことがありましたが、
その時と同様、デザイン画のイメージを実物に落とし込むのが難しかったです。

ベース色は深い緑色。
湖面のイメージ色としました。。。

箔を押した後は、よく乾燥させてから箔の上から摺り漆をうっすら施しました。
特に銀箔は空気中の酸化硫黄物で焼ける(錆びる)ので、摺り漆は欠かせません。
波紋鞘のイメージ作りにおけるコンセプトは、
伝統的仕様=金砂子を使いつつ、シンプルかつモダンに自然の情景を表すこと。
波紋の配置や間の取り具合にかなり気を配りながら、デザイン作業を進めました。
箔押しするエリアが限定的な上、鞘という3次曲面であるため、
いつもとは違うマスキングも方法を考え、作業を展開。
どういう手順・工程で進めるか、かなり思案した次第です。
まだまだ工夫の余地がある製作ではありましたが、
大変勉強になるご依頼でした^^
2020年02月20日
鞘塗りのご紹介~金箔鞘
鞘塗りのご紹介~金箔鞘
お客様の許可を頂きましたので、
ご依頼→当方で塗りや装飾を施した幾つかの日本刀鞘をご紹介して行きます。
まずは昨年夏~秋にかけて製作した金箔鞘について。

金箔鞘の全体像です。

この箔押しご依頼は、通常の仕様(金箔平押し)とはだいぶ違うものでした。

細かい切り廻し=砂子(金箔の粒)で3重に箔押ししております。

箔押しが終わって、蒔絵筆で銘入れ(黒漆)を行い、最後にうっすらと摺り漆を施しました。

金箔鞘、箔押し作業の様子もご紹介。まずは箔濾し作業から。。。

箔押しの上に重ねて箔を蒔き、、、

蒔きつぶして、、、

あかし紙や真綿で押さえて、、、

乾燥後に真綿で箔払いして、、、

真綿でそっと磨いて箔押しの1工程が完了です。。。
この作業を3回繰り返したわけですが、
それ以前に、木地の状態から下地~中塗り迄も施しました。
鞘塗りを全工程行いますと、やはり工程数の多さが改めて分かります。
各工程気を抜かずにやらないと、後で必ずしっぺ返しが来る漆塗り。
その厳しさを毎回味わった次第です。

普通の箔押しとは違い、拡大して見ると豹紋のような表情が。。。
初めて行った難しい作業ではありましたが、また一つ勉強になったご依頼でありました。
お客様の許可を頂きましたので、
ご依頼→当方で塗りや装飾を施した幾つかの日本刀鞘をご紹介して行きます。
まずは昨年夏~秋にかけて製作した金箔鞘について。

金箔鞘の全体像です。

この箔押しご依頼は、通常の仕様(金箔平押し)とはだいぶ違うものでした。

細かい切り廻し=砂子(金箔の粒)で3重に箔押ししております。

箔押しが終わって、蒔絵筆で銘入れ(黒漆)を行い、最後にうっすらと摺り漆を施しました。

金箔鞘、箔押し作業の様子もご紹介。まずは箔濾し作業から。。。

箔押しの上に重ねて箔を蒔き、、、

蒔きつぶして、、、

あかし紙や真綿で押さえて、、、

乾燥後に真綿で箔払いして、、、

真綿でそっと磨いて箔押しの1工程が完了です。。。
この作業を3回繰り返したわけですが、
それ以前に、木地の状態から下地~中塗り迄も施しました。
鞘塗りを全工程行いますと、やはり工程数の多さが改めて分かります。
各工程気を抜かずにやらないと、後で必ずしっぺ返しが来る漆塗り。
その厳しさを毎回味わった次第です。

普通の箔押しとは違い、拡大して見ると豹紋のような表情が。。。
初めて行った難しい作業ではありましたが、また一つ勉強になったご依頼でありました。
2020年02月07日
曲禄の完成と納品・・・
曲禄の完成と納品・・・
ようやく曲禄(お坊様の椅子)の塗り直しが終わり、
先日、筑後のご依頼主=お寺へ納品して来ました。

お寺の本堂にて。
既存の漆塗りを剥ぎ、金具の錆落としと再塗装を行いましたが、
作業の度に数々の難問が発生し、その都度課題に取り組みながら進めました。

こうやって眺めると、感慨深し。。。長かった(^^;

背もたれは歪むし、気を使いました。
調整しながら、最後は何とか全体を組み上げることが出来ました。

箔押しの技術はまだまだ、、、修行が必要です。

金具は再塗装。
彫られた線が潰れないよう、塗膜は極力薄くなるような工夫をしました。

ビフォ~

アフタ~

座面ビフォ~

座面アフタ~

本堂の立派さには圧倒されました。
箔押しや彫刻など、、、凄いです。

獅子と牡丹。素晴らしい。。。
この塗り直しは、ほぼ1年がかりとなりましたが、
仏具や木工に関して凄く勉強になったご依頼でした。
また永くご活用されることを願っております!
ようやく曲禄(お坊様の椅子)の塗り直しが終わり、
先日、筑後のご依頼主=お寺へ納品して来ました。

お寺の本堂にて。
既存の漆塗りを剥ぎ、金具の錆落としと再塗装を行いましたが、
作業の度に数々の難問が発生し、その都度課題に取り組みながら進めました。

こうやって眺めると、感慨深し。。。長かった(^^;

背もたれは歪むし、気を使いました。
調整しながら、最後は何とか全体を組み上げることが出来ました。

箔押しの技術はまだまだ、、、修行が必要です。

金具は再塗装。
彫られた線が潰れないよう、塗膜は極力薄くなるような工夫をしました。
ビフォ~

アフタ~
座面ビフォ~

座面アフタ~

本堂の立派さには圧倒されました。
箔押しや彫刻など、、、凄いです。

獅子と牡丹。素晴らしい。。。
この塗り直しは、ほぼ1年がかりとなりましたが、
仏具や木工に関して凄く勉強になったご依頼でした。
また永くご活用されることを願っております!