2020年02月21日

鞘塗りご紹介~龍虎螺鈿鞘(大小)

鞘塗りご紹介~龍虎螺鈿鞘

鞘塗りご紹介のラストは、今年に入って完成~納品した
『 黒漆蝋色塗龍虎螺鈿鞘(大小)』*仮称です。

難しい課題も多くあり、当方の様々な事情もあって製作に1年以上を要しました。
やっと先月納品することができましたが、内容の濃いご依頼を頂いた上、
長期間に渡って忍耐強く待って頂いたお客様には本当に感謝しております!


 龍虎が睨み合う構図での鞘大小セットというオーダーです。
 全体に青貝粉蒔きを行い、鐺付近に菊紋も配もしております。


 龍鞘の表裏姿。


 青龍は天界にて霊芝雲(れいしぐも)を伴い、天象の神として地上界を見下ろす、、、
 そのようなイメージでもあります。


 龍鞘裏面の霊芝雲たち。
 霊芝は万年茸の中国での呼称。
 この形を雲にかたどり、吉祥文様として古くから使われてきたとのこと。


 虎鞘表裏姿。
 古くから、虎には竹との組み合わせが多く見受けられますが、
 紅葉とのミックスという斬新なオーダーを頂きまして、
 色合いとしては金色の裏彩色を施した螺鈿にて紅葉を表してみました。


 虎もまた、青龍と呼応するかのように青みの裏彩色を施して青虎と成す。
 龍と虎は共に青もしくは緑系統とのオーダーがお客様からありましたが、
 このことが、デザインする上でイメージ作りに欠かせない重要な要素となりました。


 虎鞘裏面の紅葉螺鈿。


 鞘大小の表裏に施した菊紋。
 銀の裏彩色を施した螺鈿粒を菊紋にかたどり、研ぎ出し螺鈿として表現しました。


今回の製作で難しかったことは、
複雑な絵柄の螺鈿を、かなり曲面のきつい鞘躯体に対し、
いかにスムーズに貼付するかという点、
また、施した全ての螺鈿を一つの曲面とするため、
特に貼付した絵柄螺鈿を極力傷めることなく、
全体を研ぎ出して終わる点が挙げられます。

以上のミッションを成功させる為には、
平板で固い螺鈿の加工から貼付に至るまでのテクニック向上および刷新と、
マスキングテクニックの新たなアイディアが必要となりました。

これらの難点を何とかクリアでき完成と相成りましたが、
今回得られた技術や内容は、次なる製作に必ず活かして行けると確信しています。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:39Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り鞘塗り

2020年02月21日

鞘塗りご紹介~波紋鞘

鞘塗りご紹介~波紋鞘

鞘塗りご紹介の二つ目は、昨年秋に製作した「波紋鞘」。
湖面に落ちる水滴で出来た波紋を、金箔、銀箔の切り廻し(砂子)で表現しました。



 鞘全体像です。



 鞘の曲面に対して曲線の表現。
 以前、尺八につる草を絵付けしたことがありましたが、
 その時と同様、デザイン画のイメージを実物に落とし込むのが難しかったです。


 ベース色は深い緑色。
 湖面のイメージ色としました。。。


 箔を押した後は、よく乾燥させてから箔の上から摺り漆をうっすら施しました。
 特に銀箔は空気中の酸化硫黄物で焼ける(錆びる)ので、摺り漆は欠かせません。

波紋鞘のイメージ作りにおけるコンセプトは、
伝統的仕様=金砂子を使いつつ、シンプルかつモダンに自然の情景を表すこと。
波紋の配置や間の取り具合にかなり気を配りながら、デザイン作業を進めました。

箔押しするエリアが限定的な上、鞘という3次曲面であるため、
いつもとは違うマスキングも方法を考え、作業を展開。
どういう手順・工程で進めるか、かなり思案した次第です。

まだまだ工夫の余地がある製作ではありましたが、
大変勉強になるご依頼でした^^

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:19Comments(0)金箔・金粉漆塗り鞘塗り

2020年02月20日

鞘塗りのご紹介~金箔鞘

鞘塗りのご紹介~金箔鞘

お客様の許可を頂きましたので、
ご依頼→当方で塗りや装飾を施した幾つかの日本刀鞘をご紹介して行きます。
まずは昨年夏~秋にかけて製作した金箔鞘について。


 金箔鞘の全体像です。


 この箔押しご依頼は、通常の仕様(金箔平押し)とはだいぶ違うものでした。


 細かい切り廻し=砂子(金箔の粒)で3重に箔押ししております。


 箔押しが終わって、蒔絵筆で銘入れ(黒漆)を行い、最後にうっすらと摺り漆を施しました。



 金箔鞘、箔押し作業の様子もご紹介。まずは箔濾し作業から。。。


 箔押しの上に重ねて箔を蒔き、、、


 蒔きつぶして、、、


 あかし紙や真綿で押さえて、、、


 乾燥後に真綿で箔払いして、、、


 真綿でそっと磨いて箔押しの1工程が完了です。。。
 この作業を3回繰り返したわけですが、
 それ以前に、木地の状態から下地~中塗り迄も施しました。

鞘塗りを全工程行いますと、やはり工程数の多さが改めて分かります。
各工程気を抜かずにやらないと、後で必ずしっぺ返しが来る漆塗り。
その厳しさを毎回味わった次第です。


 普通の箔押しとは違い、拡大して見ると豹紋のような表情が。。。

初めて行った難しい作業ではありましたが、また一つ勉強になったご依頼でありました。

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 13:04Comments(0)金箔・金粉漆塗り鞘塗り

2020年02月07日

曲禄の完成と納品・・・

曲禄の完成と納品・・・

ようやく曲禄(お坊様の椅子)の塗り直しが終わり、
先日、筑後のご依頼主=お寺へ納品して来ました。


 お寺の本堂にて。

既存の漆塗りを剥ぎ、金具の錆落としと再塗装を行いましたが、
作業の度に数々の難問が発生し、その都度課題に取り組みながら進めました。



 こうやって眺めると、感慨深し。。。長かった(^^;


 背もたれは歪むし、気を使いました。
 調整しながら、最後は何とか全体を組み上げることが出来ました。


 箔押しの技術はまだまだ、、、修行が必要です。


 金具は再塗装。
 彫られた線が潰れないよう、塗膜は極力薄くなるような工夫をしました。 


 ビフォ~


 アフタ~


 座面ビフォ~


 座面アフタ~


 本堂の立派さには圧倒されました。
 箔押しや彫刻など、、、凄いです。


 獅子と牡丹。素晴らしい。。。


この塗り直しは、ほぼ1年がかりとなりましたが、
仏具や木工に関して凄く勉強になったご依頼でした。
また永くご活用されることを願っております!  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:37Comments(2)金箔・金粉漆塗り

2020年01月12日

日本刀鞘塗り完成・発送・・・

日本刀鞘塗り完成・発送・・・


 完成までにかなりの長期間を要した鞘(大・小)を本日発送しました。

螺鈿に関する技術が特に難しかったのですが、
今年の目標「産」にふさわしく、まさに産みの苦しみを味わうことになった鞘塗りでした。
初めて挑戦する課題が幾つもあったデザイン・仕様でしたが、
何とかクリヤーできて少し安堵しています。

また、長らく待って頂いたお客様には、
大変お待たせしていつも申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、
ご依頼を頂きまして本当に感謝しております。

絵柄などは公開できませんが、
お披露目できる機会があればご覧頂ければと思います。


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 19:24Comments(0)漆塗り鞘塗り

2019年11月26日

曲禄の朱漆塗り・・・

曲禄の朱漆塗り・・・


 年末までに終わらせなければ…と思っている大物の一つ=曲禄。
 朱塗りまで何とか終わりましたが、
 11月も色々あってなかなか作業が進みませんでした。
 また他の作業や用事があって、12月に入ってから箔押ししますが、、、(^^;

幾つかの大物は年内に納品しないと、心安らかに年越しできません~。
頑張ろう!!  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 12:47Comments(0)漆塗り

2019年10月27日

鞘塗り 箔押し作業・・・

鞘塗り 箔押し作業・・・

10月も、もう終わろうとしています。
作業に追われていると、時間が経つのが本当に早いですね~。

さて、今月は鞘塗りの作業も色々とやっておりますが、
箔押しをする鞘が2本あり、一つは既に納品。
もう一本を現在急いで作業しております。


 後で施す箔押しのことを考えると、テクニック的に難しいマスキング。
 鞘の曲面に対して曲線の図案ということが難しくしている大きな要因です。
 先に考えていた手法は使えないことが分かり少し中断しておりましたが、、、
 やっとマスキングの応用テクを考えつきました。
 あとは図面目視というアナログ的手法で何とかクリヤーしました。


 しっかり準備して、いざ本番へ!
 まずは箔を濾す作業から、、、秘密の振りコマも用意します。。。


 粗目の砂子(切り廻し)を濾して、、、もう少し細かくします。


 金箔の作業は昨日無事に終わり、、、本日、銀箔の箔押し作業へ。
 銀箔は金箔に比べて幾分厚みがあるので、少し要領が変わって来ます。
 気を緩めることなく、しっかりやっていかないと~。


 そして、銀箔の作業も無事に終わりました~。 
 ベストは尽くしていますが、箔払いをしてみるまで上手く行っているか
 ハッキリとは分かりません。どうか修正無く終わりますように!
 





  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 18:30Comments(0)金箔・金粉漆塗り

2019年09月27日

9月も、もう終わり、、、

9月も、もう終わり、、、

もう9月が終わろうとしています。
諸々の作業が同時進行中ですが、最近は1週間がとても早いですね!(^^;

金継ぎご依頼品は、金粉蒔き付けが完了。そろそろ納品へ!です。
一つ一つコツコツと。。。


 弁柄漆を蒔き絵筆で塗って、、、


 丸粉3号を急いで蒔きます。。。
 この陶器の肌は、金属質の釉薬が混ざっているのか、かなり粗いので、
 蒔絵用に使っているかなり柔らかい漆=弁柄漆は滲みやすいことが分かっています。
 弁柄漆は極力薄く塗り、間を置かずに金粉を蒔き付けて行きます。


 金粉蒔き後に、金線の輪郭が綺麗でないところを竹串刀で削って整えます。
 やはり僅かな滲みが結構出ていたので、削り作業には時間がかかりました。


 大将から預かっている10枚程の器たちは、
 一つは丸粉3号で、他は金消し粉で蒔き付け。
 他料亭様の3枚は、丸粉3号で、、、
 という具合に、器によって粉を使い分け。

 粉の使い分けは、色々と理由がありますが、、、
 ご依頼内容や状況で変わって来ます^^


 下地が終わった鞘は中塗り中。
 黒呂色漆をあと1~2回塗り&研いで、より平滑にして行きます。


大変お待たせしているご依頼や、
新規ご依頼(デザイン案件)も幾つかありますが、
身体が一つなのに手間はかかるので中々進まない。
そこを何とかしないといけないです。

10月は増々自分を追い込まないと、、、ですね~(^^;


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:02Comments(0)漆塗り

2019年09月22日

鞘塗り下地の固め作業・・・

鞘塗り下地の固め作業・・・

7月から始めた鞘塗り下地は固め作業へ。
今年は諸々ご依頼で、下地からの作業が多くなってます。


 接着した栗形の脇に残っていた隙間は錆で埋め、、、本日研いで、、、


 やっと下地固めへ。。。
 生漆をよくかき混ぜて、、、


 下地に生漆を吸い込ませます。
 プラスチック箆は鞘の曲面へよく馴染んでくれるので、よかよかです(^^)/
 それにしてもま~今回の下地も生漆を良く吸い込んでくれます(^^;


早いもので、9月も下旬に入ります。
金継ぎ、貝細工アクセサリー、貝材料加工、曲禄の塗り直し、
新しいご依頼案件のデザイン作成を幾つか、そして鞘塗りを数本と、、、
なかなかに目まぐるしい感じとなってきました。

今年も終盤戦へ向けてバタバタと跳ねながら
もっと頑張らないといけませんね(^^;  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 14:53Comments(0)漆塗り

2019年09月08日

修理した琵琶糸巻 ご依頼主の元へ・・・

修理した琵琶糸巻 ご依頼主の元へ・・・

先月=8月のことではありましたが、、、
修理が完成して納品した琵琶糸巻が、
ご依頼主の元で本体に取り付けられたとのご連絡がありました。


 ☆メールで送って頂いた写真です。

音色も大変素晴らしく、重さも軽いとのことで、
糸巻は無事に機能を果たしているようです。安堵致しました。
丁寧な御礼のお言葉も頂きまして、本当に嬉しく思います!(^^♪

しかも、ご依頼主のお師匠様と兄弟子の方がこの琵琶をご覧になったところ、
なんと昭和の名工=津留崎鎮助作の貴重な琵琶であることが判明したとのお話でした。
このことを知って「あ~何とかなって良かったな~」っと、心の底から思った次第です。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 19:07Comments(0)漆塗り楽器装飾

2019年08月29日

曲禄の中塗り作業・・・

曲禄の中塗り作業・・・

もう8月も終わりがけになってきましたが、
最近は毎日のように強めの雨が降っていて、
ちょっといつもの年とは違う秋雨前線の様相を呈してきました。
漆塗りには比較的良い条件ではありますが。。。(^^;


 曲禄の塗り直し作業は、中塗り(黒漆塗り)の工程に入り、
 大体塗り終えています。

現在は諸々の案件があって中断しておりますが、
数日後に作業再開です。

様々なこともあって、なかなかご依頼をこなし切れていないですが、
9月はじっくりコツコツと制作に集中できる状況となりそうですから、
しっかりやっていこうと思います。
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 21:43Comments(0)漆塗り

2019年08月14日

曲禄の下地作業・・・

曲禄の下地作業・・・

曲禄塗り直しの仕事は、7月後半から工房での下地付けに入り、
今月中旬からは自宅作業部屋での塗り作業に入っています。

ともかく工房は空調がないため、
この厳しい暑さの中、作業は過酷となります。
ということで、今月からは自宅での作業へ移っているのであります。(^^;

7月後半~8月上旬の工房では、、、


 木部の木固め(漆を吸わせる工程)や損傷個所に漆パテを埋め込む作業が終わり、
 下地(切粉地や錆)を付ける作業に入りました。


 切粉地付けも2回実施し、、、


 下地を付けては、屋外で空研ぎして、、、


 錆付けをようやく終えてから水研ぎに入り、、、
 連日の過酷作業に耐え切れず、、、
 水研ぎは未完了のまま、全て自宅へ車で持ち帰りました。


 自宅に持ち帰ってから、まずは水研ぎを完了させ、
 生漆を下地に吸わせる作業を開始。。。


 生漆を2度吸わせた曲禄背の部位。
 それにしても、いっぱい吸ってくれました。
 生漆の量が結構必要となり、、、(^^;


そんなこんなで、曲禄の塗り直し作業は、
いよいよ中塗りに入って行くこととなります。

つづく。。。



  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:57Comments(0)漆塗り

2019年08月08日

琵琶糸巻修理・・・

琵琶糸巻修理・・・

先月後半から、筑前琵琶糸巻部分の修理をしており、昨日完成しました。

どうするか、知人の琵琶修理職人さんにアドバイスを頂いたところ、、、
「ここは力のかかる所だから、専門の工房で作り直した方が良いでしょう。」というお返事あり!汗

しかし、ご依頼主のお話によりますと、新しく作るには余りにも高額の費用がかかるということで、、、
よくよくご相談の上、当方でチャレンジすることとなりました。

楽器の修理は専門外。音にも関係する微妙な領域です。
しかし、可能かどうか試したい気持ちもありました。
うちのテクニックを総動員して、、、果たして修理は成功するのか!?(^^;



 修理前の状態。バキッといっております。。。
 まずは、噛み合わせがしっくりいくように裂け口を慎重&微妙に研磨。


 合成樹脂を裂け口に対して丁寧に塗布して、
 硬化のタイミングを見ながら万力でガッチリ固定。
 この工程が今回の修理のポイント=肝とみて、相当慎重に行いました。


 接着完了。しかし、これで終わらないのが今回の修理。
 「力のかかるところ、、、」という一言が、この後の工程、仕様を考えるきっかけになりました。


 研磨して、、、


 マスクして、、、


 摺漆して、、、


 摺漆の乾燥後に、一旦糸巻棒を入れて確認。
 嵌り具合を見ながら、穴の微妙な調整をして、、、


 布着せます、、、


 折り目を付けて、いい具合に巻けました、、、
 

 糊漆塗って、、、


 布を貼って(着せて)、、、


 カットして、、、1回目の布着せが完了。
 乾燥後に2回目の布着せへ、、、


 形状に合わせて布に折り目を付けて、、、


 糊漆を塗って、、、


 貼ってから、余分にはみ出した布は断ち落として、、、
 また上から糊漆をしっかり塗ります。
 乾燥後に、孔の部分を切り取って調整したり、
 漆を上塗りする作業も行いまして、完成と相成りました。



 2回目の布を貼り、漆で固めて完成した状態です。


 糸巻棒の嵌め具合はしっかりしている感じ。。。
 後は、使って頂いた感じがどうか、、、というところですね(^^;


 もうちょっとやそっとじゃ割れてこないと思いますが、、、


 孔の所は特に弱そうなので、布をもう一枚巻いて、二重巻きの仕様にしています。

今回もまた難題のご依頼ではありましたが、何とかここまで仕立ててみました。
ともかく、お客様が上手く弾かれて、尚且つその後も状態が保たれてこその成功となります。
その結果を得るまでは安堵できないということになるでしょう。

納品後の結果が気になるところです!果たして、、、汗




  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 20:50Comments(0)漆塗り楽器装飾

2019年06月28日

曲禄の塗り作業を開始・・・

曲禄の塗り作業を開始・・・

諸々あって中断していた曲禄塗り直し作業。
この一週間は、やっと再開できまして、
既存の漆塗りを剥いだ素地を調整研磨し、
まずは昨日、木固めから入りました。


 素地調整の様子です。
 粗目のペーパーを平たい木片に回して、素地をしっかり研磨。


 曲面も丁寧に研磨です。


 昨日は、残っていた前脚を研磨。
 これがまた結構複雑で、、、解体できずにおりましので、
 継ぎ目の所が特に研磨しにくく、難儀でした(^^;


 それでもやっと素地研磨完了。
 工房主=切り株くん、この先を見守ってて下さい!
 ☆切り株くんもイモムシくんの惨禍からよく復活しましたね。
  90%がた葉っぱを食べられてたのに。。。


 部材の確認。まずはシンプルな材から塗りをやりましょ~。


 過去に1~2度、塗り直しや修理をしたと思われるこの曲禄。
 下手をすると江戸時代に作られたのかもしれません。
 過去の墨書き跡の下に「令和元年」と記しました。

 江戸~明治~大正~昭和~平成~そして令和と、六時代を経ることになるとしたら、、、
 今後も引き継がれることを思うと、しっかり下地から塗り直さないとですね。


 それにしても蒸します。二つの熱帯低気圧の北上に伴い、夏の空気も一気に日本へ。
 昨日は福岡が全国一の暑さだったとか。。。
 漆の乾きが異常に速い!生漆がすぐ茶色になります(^^;

 木固めのための最初の一箆は、令和を記したこの部材へ!!
 次に誰かが塗り直すことがあれば、もしかするとこの表記を目にするかもしれません(^^)


  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 23:35Comments(0)漆塗り木工

2019年06月25日

駐福岡大韓民国総領事館へ・・・

駐福岡大韓民国総領事館へ・・・


先日、駐福岡大韓民国総領事館の実務官の方から
韓国伝統家具の螺鈿手入れについてご依頼がありまして、
実物を拝見することとなり、急遽伺うことになりました。


 ということで、初めて館内に。そこには素晴らしい調度品が!


 伝統的な品の良い絵柄の螺鈿細工がびっしり!
 背後の衝立や手前のクッションも素晴らしく、思わず見入ってしまいました。
 手前の座椅子は王様がお座りになるものだそうです。


 まずは螺鈿細工の調度品をしっかり拝見させて頂きました。
 螺鈿というのは、塗料との密着性がそれほど強くはないので、
 水をたっぷり含んだ布で拭いたりするのは避け、
 普段は柔らかい毛の刷毛などで埃を掃う程度にして、
 数ヵ月から年に一回程度の間隔で、
 水気を少し含ませ固く絞った布で汚れをゆっくり慎重に
 拭き取ることをされると良いでしょう、、、とお伝えしました。

 試しに調度品を慎重に水拭きしてみると、
 特に上面は布に少し黒く汚れがついてきていたので、
 やはり水拭きは必要という共通認識となりました。



 そうこうするうちに、、、実務官の方が、韓国伝統家具の一部に漆塗りが剥げているところを発見!
 塗りが剥げているのはここだけでしたが、何かの拍子に取れてしまったのでしょう。
 これは目立つということで、当方が補修をすることとなりました。
 ちょっと緊張しますが、現場での補修をしっかりさせて頂きます。
 続きはまた後日に。


 帰り際に、実務官の方から「記念にどうですか?」とおっしゃって頂きまして、
 緊張しながらも(その割に図々しく見えます)、なんと王座に座っての記念撮影!
 私のような者が、お恥ずかしい限りです(^^;
 

今回は、大変興味深く貴重な機会・ご依頼を頂きまして、
大韓民国総領事館の方々に感謝申し上げます。
国家の枠を超えて、螺鈿細工、漆芸といった文化的交流が出来ることを喜びとし、
今後の励みにして行きたいと考えた次第です。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 13:40Comments(0)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り

2019年05月14日

盛り沢山の工房作業・・・

盛り沢山の工房作業・・・


5月に入って新たなご依頼も幾つかあり、
なかなか作業予定が込み合ってきました。

一昨日、昨日と、工房作業も盛り沢山。


 曲禄は、ほぼ全ての塗り剥ぎが終了。
 一部の難しい部位や状態の良い塗面はそのままに、
 もう少し木部の素地調整が必要です。


 それにしても、この背もたれ部分の剥離作業は大変でした。
 ここが山、、、といっても過言ではなかったです(^^;
 金箔が貼ってあった模様彫り部分は、剥ぎ落すのが難儀過ぎたので、
 ガサガサに荒らした状態にして、漆でガチガチに固めます。

昨日はその他にも諸々作業です↓


 パーツ加工のために、厚みのある部位を含んだ良質のアワビ貝殻を研磨。


 久しぶりにお会いした、向かいのバイク工房さん。
 お話をしているうちに、螺鈿装飾のご依頼あり!!
 今回は、当方のお試しと宣伝用にもするため、
 費用は抑え気味でお引き受けすることになりました。


 まずは、タンクなどを採寸~。

 他ご依頼が詰まっていますので、半年~1年お待たせするかも~汗。


 結構お急ぎの琵琶半月ご依頼も最近ありまして、、、


 他ご依頼の製作の合間で製作していくことに。。。


 半月は意外と大きく、、、いつも白蝶貝のトリーミングに悩みます。。。何とか取れる部位を探して、まずは大枠カット。


そんなこんなで、5月もバタバタと過ぎて行きます。
お待たせしているお客様、
大変申し訳ございませんが、今しばらくお待ち下さい。


 ☆益々モフモフアフロ化してきた工房主=切り株くん。
  見守っていて下さいね~。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 12:24Comments(2)螺鈿(らでん)・貝細工漆塗り

2019年04月14日

曲禄の金具外し完了・・・

曲禄の金具外し完了・・・



 昨日、曲禄の金具外しと解体が、やっと終わりました。
 脚を留める大きな釘が4本抜けませんでしたが、このまま塗り直し作業は出来そうです。
 これで次の段階へ。。。


 全部で67個の金具、およそ300本の釘抜き、、、
 錆ついてて頭が取れたり折れた釘も数知れず。
 その都度ペンチで引っこ抜くを繰り返して、、、だいぶ根性要りました(^^;)


 さて、錆ついてどうしても抜けない革留め鉄釘はどうするか、、、


 頭削るべし!


 真鍮製と思われる細板を外して、、、


 あとはきれいに削って終了!!
 穴の位置は、細板を左右逆にすると
 見事に残り釘の位置を外れてくれるので助かりました(^^)/


金具を外した曲禄の躯体。昨日は帰りがけに一つだけ塗装剥ぎをしました。
ちょっと手荒いですが、まずはディスクサンダー#80ペーパーディスクで大枠研磨。


 白いのは胡粉?茶色いのは砥の粉?
 お預かりして間もなく、この2色の下地をチェックしていました。
 漆が剥げた部分から見えたので水拭きしてみたところ、簡単に溶けちゃいました。
 どうやら漆は全く混じってないようで、、、下地としては脆いもののようです。


 一方の面を削ってみると、、、この材木は、杉!?


 ここまで削ったら、、、あとは手研ぎします。
 使用するサンドペーパーは#120~#240くらいでしょうか。。。


曲禄の塗り直し作業は、まさにリフォーム。
家屋の内装やり直しの気分になっております(^^;
大変とは言え、こういうご依頼は滅多になく、隠れている面白い物も出てくる。
おまけに劣化の度合いが酷ければひどいほど、
何とか直して奇麗にした姿を見たくなる、、、
モチベーションは高い!です。(笑)
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 17:34Comments(0)漆塗り

2019年03月17日

工房の桜が開花しました・・・

工房の桜が開花しました・・・


 今日=3月17日に、糸島工房脇の桜が開花しました。


 今年の開花は早いですね!
 開花予想では福岡が日本一早いということでしたが、
 どうやらその通りのようです(^^)/


 だんだんと暖かくなってきました。
 これから春の陽気が本格化してくることでしょう。

ご依頼頂いているお坊さんが座る「曲禄」の塗り直し。
漆塗り作業の前準備として、まずは金具の取り外しから。

前回は取り外しのテストを行いましたが、これからは本作業です。
金具総数を確認したところ、全部で67個、、、先は長そうです(^^;


 ナンバー01と名付けた、左肘掛け手前の金具から。。。
 釘がしっかり食いついてますが、釘抜きの刃を入れググッと持ち上げて~。


 金具を取り外すと、、、朱漆が焼けてない所が鮮やかですね。


 今日は、工房周りの野良仕事を急遽していた関係で、
 (草や蔦でもの凄いことになってまして~今やらないと、、、汗)
 全部で8ヵ所の金具しか外せませんでした。
 時々ポキッと折れる釘もありますが、順調に外せる感じです。
 次回はもっと頑張って、20~30ヵ所は外すつもりです!!

  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:26Comments(0)漆塗り

2019年02月18日

金継ぎ器たちを大将へ納品・・・

金継ぎ器たちを大将へ納品・・・

いつもお世話になっている料亭の大将から昨年末に預かった器たち。
欠けや割れを修理して、昨日納品しました。


 預かった当初の器たち。。。まあまあ枚数あります(^^;


 傷口に薄く漆を塗って、、、


 トースターで焼いて、、、漆の簡易焼き付けを行いました。


 錆付けなどしつつ、時は過ぎて、、、2月に入りました。
 黒漆で下塗りし、、、


 弁柄漆を塗って、、、


 金粉を蒔いて、、、


 鯛の牙で磨き、、、さらに磨き粉で磨いて完成!


修理に入ってから、2か月以内で現場復帰した器たち。。。
また料亭で存分に活躍して下さい!!^^
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 19:45Comments(0)漆塗り

2018年09月29日

中国古筆の修理が完成・・・

中国古筆の修理が完成・・・


中国古筆の修理(補修)が完成しまして、昨日お客様の元へ直接納品に行きました。

これ迄で一番難しい修理作業となり、色々と試行錯誤するうちに
昨年2月から1年7ヶ月という長期間でお預かりすることとなってしまいましたが、
何とか整えてお渡しすることが出来て、だいぶホッとしております。
今回もまた凄く勉強になったご依頼でした。



 完成した全体像です。
 清朝初期(乾隆帝などの時代/およそ300年程前)のものと思われる筆で、
 お預かりした当初は、螺鈿の約7割が剥離=消失し、朱漆も一部が剥げ、
 金彩も所々大きな傷やこすれ落ちた箇所が見受けられる状態でした。


 基本的に雲竜図です。
 龍の顔はほぼ二つとも剥げ落ちた状態でしたが、
 資料図案やわずかに残った部位を手掛かりに、描き起こしてみました。


 筆筒をはめた状態の全体像です。


 筆筒の拡大写真です。


☆修理に至るまでの高低をいくつかご紹介します(以下)。



 下地がむき出しに。。。
 今回の修理で一番難儀なのがこの下地。何で出来ているかが謎でした。。。
 水が付くと強烈な粘性を帯び、乾燥すると硬化するのです。
 膠ですと通常の温度の水では溶けにくいはずで、小麦粉や米粉とはかなり違う粘性の強さ。
 植物由来のような気もしますが、もう300年も経っているのに、
 粘着性の機能を保持しているとは。。。この組成は何なのか?

 以上の通り、この下地は水で溶け、周囲の朱漆が侵され剥離し出すので、
 水研ぎが出来ないという事態に。
 空研ぎを中心に、水を一切使わない作業での調整が続きました。


 朱漆が剥げたところも大変でした。。。
 だいたい色漆は、元の色と合わせるのが非常に難しいのです。
 色の調合、乾燥条件の研究を進めましたが、
 結局求めるレベルの80%くらいしか到達しませんでした。
 最終的には、エイジング処理で既存の朱漆と何とか風合いを似せることで、
 周囲とのバランスを図った次第です。


 螺鈿補修は、フィルムトレースでの正確な形状写しから実施。


 螺鈿接着の研究。
 膠での接着をまずは試み、アレコレと調合を試すも、、、なかなか上手く行かず。


 研究と並行して螺鈿加工は進め、、、トリーミングを。


 既存螺鈿と色味が合う所を慎重に選んでカット。。。


 螺鈿は、形状が複雑なものもあり、
 尚且つ筆の曲面にも馴染ませなければならないため、
 少し特殊な方法で熱矯正をかけました。


 仮置きをして調整をかけながら、、、


 湾曲具合も確かめながら、、、


 膠による螺鈿接着研究は、袋小路に入り込んでいました。。。
 結果的には接着強度が足らず、既存下地との色味合わせも上手く行かず、
 この努力は結局実りませんでした。。。


 次なる接着手段を発案。。。
 現代的なテクニックを使う方向で研究を進め、、、


 色々と試した結果、接着強度の高い樹脂に着色して
 下地と似た色合いを出すという方向で落ち着きました。


 接着に伴い、螺鈿をガチガチにテープで固定。
 それでも足りない場合は、重石をかけて、、、


 螺鈿接着が終わったところです。
 この後、研ぎを施し絵付けを行って螺鈿は完成。
 金彩は、水を僅かに湿らせた綿棒で金彩表面に付着した汚れを落としつつ、
 傷や擦れたところには摺漆を施して金消し粉を蒔き付け、
 引っかき線を針で入れての補修となりました。

 この金彩も箔なのか金泥なのかはよく分かりませんでしたが、
 強力に漆と密着していることで、清掃作業は比較的楽に進められました。


修理作業の概要は以上の通りですが、
ここまでハードルが高いことになろうとは思わず、
骨董品修理の奥深さを痛感した次第です。

それにしても、先人の知恵には計り知れないものがあるものですね~汗。  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:42Comments(2)螺鈿(らでん)・貝細工金箔・金粉漆塗り