2022年10月03日

籃胎漆器の修理④ 錆付け・・・

籃胎漆器の修理④ 錆付け・・・

修理している籃胎お弁当箱は、
かなり傷んだ箇所の接着部分がようやく安定してきたので、
ここで一気にメインの錆付けを敢行です。


まずは先行して錆をヘラ付けした小口。


しっかり一晩で乾いたので水研ぎしました。


底の角(箱どうしの接合部分)も!(^.^)



さて、メインディッシュの上蓋を行きましょう。
段差や凹みの深い上蓋内側のバッテン部分は
こちらも先行して薄く錆付けしていましたので、、、


空研ぎを軽く施し、、、


隅の方から錆付け開始。。。


ここからがメインの作業、、、
網目へ馴染ませるように指で錆付けであります。

錆の乾燥は早いので、、、
少しずつラップから取り出し、部分的に作業を繰り返しましたが、
その都度、慎重かつ手早く錆付けを行いました。


作業完了!3本の指先が真っ黒です(^^;

錆は、もたもたしていると5分ほどでゴロゴロになって来ます。
付けている際、手遅れになってしまったら、、、
その部分は一旦取り除いてやり直し~です(-_-;)


しかし、今回の錆付け、
なぜこのようなめんどい手法になったのか。。。

既存の塗りは、上塗りを剥いでみますと、
網目の隙間や凹みがぶ厚い錆で埋まっておりましたが、、、
どうやらこの厚みが原因で、下地として付けた錆自体が
網目状に割れやすくなっていたようなんです。

つまり、この現象を防ぐためには
網目に詰まった錆を比較的薄めにしてやれば、
ある程度上蓋のたわみに塗りが順応して、
割れが起きる確率が少なくなるものと判断したわけです。

そのような考えもあってわざわざ手間をかけたこの作業、、、
なんとか功を奏すことを祈っております!(^^;



こちら、お弁当箱の下の段も、側面に錆付けであります。

側面の網目も傷んでおりましたが上蓋ほどではなく、
1週間ほど前、割れ目・隙間や隅に
麦漆やコクソを詰めて接着補強しておりました。
この錆付けでより平滑に、そして強固になることでしょう。

このように、錆付けにもかなり労力を要しましたが、
乾燥して研ぎを入れ、錆固めをすれば、、、
ん!?もう終盤戦=上塗りに入るじゃないですか!?

だいぶ予定より早くなりそうですから、
暫くこのまま置いておきましょうか。
他の案件もあることですし、、、(^.^)

つづく。。。
  


Posted by 瑞緒(ミズオ) at 21:46Comments(0)制作日記漆塗り修理