2010年05月14日

ゲゲゲを見てると・・・

ゲゲゲを見てると・・・

今年は珍しくNHKのドラマをよく見る。大河ドラマしかり、そして朝の連ドラしかり・・・。毎回見てしまうとは・・・。

両方とも、多少の脚色はされていても、現実にあった話を基にしているからか、「あ~そうやったんかぁ~」という感じ。「ゲゲゲの女房」では、私が生まれる少し前のお話(昭和30年代))が現在進行しているが、まだ戦争の名残がしっかり残っている様子が描かれている。

確か私が4~5才頃(昭和46~47年)、博多区東公園での話。当時私の祖父母は、東公園からほど近い千代町に住んでいて、たぶん祖父か祖母に連れられて、私は公園に遊びに来ていたのだと思う。うっすらと憶えているが、ある日その公園の片隅で、兵隊さんの格好をしたり、白っぽい服をまとったりしている人達が人々に何か訴えていのを目撃した。確か、そのうちの1人は片足が無かった・・・。杖をつき、声を張り上げ、厳しい表情をしていた。手に何かお鉢のようなものを持っていたので、もしかすると人々に物乞いをしていたのかもしれない。私は、じっと彼らの姿を見て、何かしら恐怖を覚えた。何か見てはならないものを見ている気がした。戦争を体験したことはないが、戦争の名残がそこにあった。戦争によって大きく傷ついた人の、生の姿を見た初めての経験。幼い私にとって、印象が強かったのだろう。

その直後、両親か祖父母に「あの兵隊さんは?」と尋ねたところ、「最近は傷病を偽ってあんな格好をしとる人もおる・・・足が無いふりしとるかもしれん」という冷たい返事が返ってきた。でも、あの人達はいずれにしても貧乏そうであることは確かだった。

ゲゲゲ・・・を見ていると、当時の記憶が蘇ってくる。片腕が無い水木しげる。みんな貧乏で、いつもお金に困っている・・・。灰色の風景。灰色の街。キレイごとだけではすまない現実。でも、何か希望を見出そうとする人たち。片腕が無くても、歯を食いしばって描き続ける水木しげる。絶望しないで生きていこうとする人々の力強い姿が印象的だ。



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Posted by 瑞緒(ミズオ) at 22:26Comments(0)制作日記